【2020年】宅建試験に出題が予想される民法改正のポイント

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民法の債権法(契約等の規定)が120年ぶりに改正され2020年の宅建の試験では改正後の民法から出題される予定です。

120年前にあった出来事としてはアテネで第一回の夏季オリンピックが開かれたり、ヘンリー・フォードが初の四輪自動車の試作に成功したなどがあります。

その間民法が改正されてなかったことに驚きですが、今回の改正は社会・経済の変化への対応、確立された判例や解釈論を明文化するために行われました。

改正点が非常に多いのでこの記事では重要と思われるもののみを抜粋しました。

詳しく知りたい人は法務省のHPを確認してください。

理解を深めるのにいいですよ。

参考 債権法改正について法務省

宅建の民法の改正点まとめ

サト

改正点をささっとチェックしたい人はここだけ見てね!

※リンクをクリックすると詳細な説明の箇所に移動します。

意思能力意思能力がない人(例えば認知症のおじいちゃん)のした法律行為は無効
心裡留保心裡留保による無効は善意の第三者に対抗できない
代理権の濫用代理権の濫用は無権代理として扱われ本人が追認しない限り本人に対してその効力は生じない
債権の譲渡性譲渡制限特約に違反した債権譲渡も原則有効
債務者の危険負担等目的物の引渡し前に、当事者双方に帰責事由なく目的物が滅失した場合、債務者主義が適用。つまり買主は代金を支払う必要がない
買主の追完請求権引き渡された目的物や権利が契約の内容に不適合(契約不適合責任)の場合、買主は目的物の修補、代替物の引き渡し、不足分の引渡し請求が可能
買主の代金減額請求権目的物が契約に不適合の場合に相当の期間を定めて売主に追完を催告したのに、追完してくれないときは代金請求が可能。ただし、追完不能などの場合には直ちに代金減額請求が可能
契約不適合責任の追及期間の制限契約不適合責任の追及期間は契約不適合を知ってから1年以内に通知が必要
賃貸借の存続期間賃貸借の最長期間は50年
賃借人の原状回復義務賃借人は通常の損耗・経年変化による原状回復義務は負わない。例えば、家具の設置によるへこみ、鍵の取り換えは費用を負担しなくてよい

意思能力

第3条の2(意思能力)

法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

第3条の2は意思能力が有しない人の法律行為は無効の規定です。

判例・学説上は異論なく認められ、実際に活用されていたそうですが、今回民法に明文化されることになりました。

制度趣旨は判断能力の低下したお年寄りが不利益を被るのを防ぐためです。

人口の高齢化は今後もっと進みますし、オレオレ詐欺とか高齢者の被害が多いですしね。

あわせて、押さえておきたいのは「意思能力を有しなかった者が相手方にする原状回復義務の範囲は、現に利益を受けている限度にとどまる」旨の規定です。

こちらも新設の規定となります。

覚えるべきポイント

意思能力がない人(例えば認知症のおじいちゃん)のした法律行為は無効

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心裡留保

第93条(心裡留保)

意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

 

ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

 

前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

心裡留保というのはわざと真意と異なる意思表示をすることをいいます。

例えば上司に怒られて退職する意思はなかったけど、上司に反抗するために退職届を出した場合などがあります。

この場合、退職届は原則有効ですが、上司が退職する意思がないことを知っていたか若しくは知ることができた場合は退職届は無効になります。

しかし、そんな事情を全然知らずに受理した社長(善意の第三者)には退職届の無効を主張できなくなります

覚えるべきポイント

心裡留保による無効は善意の第三者に対抗できない

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代理権の濫用

第107条(代理権の濫用)

代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。

この規定を例で説明すると、会社の従業員が会社から付与された代理権の範囲内で商品を横流しするために契約し、相手方がそれを知っていた又は知ることができた場合、その契約は代理権を有しない者がした行為とされるなどがあげられます。

代理権を有しない者がした行為、つまりは無権代理行為となるわけです。

無権代理行為は「本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」と規定されています。

今までこのようなケースは93条ただし書きを類推適用することにより本人に対して効力は生じないとしてきましたが、今回明文化されることになりました。

覚えるべきポイント

代理権の濫用は無権代理として扱われ本人が追認しない限り本人に対してその効力は生じない

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債権の譲渡性

第466条(債権の譲渡性)

(略)

 

2当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

 

3前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。

 

4前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。

改正前の民法では債務者にとって弁済の相手方を固定するために、譲渡制限特約が付された債権の譲渡は原則無効となっていました。

しかし、債権譲渡に必要な債務者の承諾が得られないことが少なくないことや、債権譲渡が無効となる可能性が払拭しきれないため、譲渡に当たって債権の価値が低額化するなどの問題がありました。

そこで改正法は、譲渡制限特約が付されていても、債権譲渡は原則有効とされました。

また、弁済の相手方を固定することへの債務者の期待を保護するために、基本的に譲渡人への弁済などをもって譲受人に対抗できるとされました。

覚えるべきポイント

譲渡制限特約に違反した債権譲渡も原則有効

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債務者の危険負担等

第536条(債務者の危険負担等)

当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。

 

2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。

 

この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない

旧民法では危険負担の原則は債務者主義(売主が代金をもらわずあきらめる)、例外が債権者主義(買主は商品をもらわず代金を払う必要がある)でした。

例外の場合として、特定物に関する物権の設定又は移転を目的とする双務契約等について債務者(売主)の責めに帰すべき事由によらないで目的物が滅失又は損傷した場合、債権者(買主)の責に帰すとされていました。

つまり、不動産屋さんと個人で売買した場合に売買契約成立後、不動産屋さんの故意・過失によらず天災で家が壊れてしまった場合は、個人は家を引き渡してもらえないのにお金を払う必要があるという規定でした。

不動産屋さんから家を買おうと思っていた個人は踏んだり蹴ったりで可哀想すぎますよね。

そこで、改正後の民法では債権者(買主)のリスクが大きすぎるのではないかということで、債務者主義(つまり買主は代金を支払う必要がない)とされました。

危険負担とは

双務契約(売買等)の一方の債務が債務者(売主)の責めに帰すべき事由によらないで履行不能となった場合に、その債務の債権者(買主)の負う反対給付債務がどのような影響を受けるのかを定める制度

覚えるべきポイント

目的物の引渡し前に、当事者双方に帰責事由なく目的物が滅失した場合、債務者主義が適用。

つまり買主は代金を支払う必要がない

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買主の追完請求権

第562条(買主の追完請求権)

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。

 

ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

 

2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない

旧民法の瑕疵担保責任の規定が今回から契約不適合責任へと変わりました。

旧民法の瑕疵担保責任とは隠れた瑕疵について買主が責任を追及できるという権利でしたが、今回からは契約の内容に適合していない瑕疵について責任を追及できるようになりました。

隠れた瑕疵とは買主が通常の注意をしたとしても発見できないような瑕疵をいいますが、どのようなものが隠れた瑕疵に当たるのかわかりずらいため、契約の内容に適合していない瑕疵としてわかりやすくなりました。

契約の内容に盛り込まれていない瑕疵について買主は責任を追及できるため、瑕疵担保責任より買主有利の規定になりました。

中古住宅を安心して売買できるように流通を活性化させたいという意図があるみたいです。

そして、本上では契約不適合責任追及の一つとしての買主の追完請求権が規定されています。

覚えるべきポイント

引き渡された目的物や権利が契約の内容に不適合(契約不適合責任)の場合、買主は目的物の修補、代替物の引き渡し、不足分の引渡し請求が可能

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買主の代金減額請求権

第536条(買主の代金減額請求権)

前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

 

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

  • 一 履行の追完が不能であるとき。
  • 二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
  • 三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
  • 四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

 

3第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

上の規定からの続きになりますが、契約の内容に適合していないものを引き渡されたので、目的物の引渡しや代替物の引渡しを相当の期間を定めて請求したのに、してくれない場合は代金の減額を請求できるという規定です。

履行の追完が不能な場合や売主が追完を拒絶する意思が明確な場合は直ちに代金の減額を請求できます。

覚えるべきポイント

目的物が契約に不適合の場合に相当の期間を定めて売主に追完を催告したのに、追完してくれないときは代金請求が可能。ただし、追完不能などの場合には直ちに代金減額請求が可能

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契約不適合責任の追及期間の制限

第566条(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)

売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

 

ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない

旧民法の瑕疵担保責任の追及は、買主が瑕疵を知ってから1年以内の権利行使が必要とされていましたが、これは買主の負担が重すぎるのではないかというのが問題となっていました。

具体的には買主は瑕疵の内容とそれに基づく損害額を算定して根拠を示す必要があるため大変すぎなのです!

なので、改正民法では買主は、契約に適合しないことを知ってから1年以内にその旨の通知が必要とされました。

通知だけでいいので楽ですね。

瑕疵担保責任から契約内容不適合責任への規定変更は買主をより保護したいという意図があるみたいですね。

権利行使とは

判例は、「裁判上の権利行使をする必要はないが、少なくとも売主に対し、具体的に瑕疵の内容とそれに基づく損害賠償請求をする旨を表明し、請求する損害額の算定の根拠を示すなどして、売主の担保責任を問う意思を明確に告げる必要がある。」としている。

覚えるべきポイント

契約不適合責任の追及期間は契約不適合を知ってから1年以内に通知が必要

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賃貸借の存続期間

第604条(賃貸借の存続期間)

賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。

 

2賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五十年を超えることができない。

ゴルフ場の敷地の山林の賃貸借などに対応するために賃貸借の最長期間が20年から50年になりました。

ゴルフ場などで長期の賃貸借のニーズがあることが理由のようです。

覚えるべきポイント

賃貸借の最長期間は50年

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賃借人の原状回復義務

第621条(賃借人の原状回復義務)

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。

 

ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない 。

賃借人は、賃借物を受け取った後に生じた損傷は通常の使用または賃貸借の経年変化による損傷を除き現状回復する義務があるとする規定です。

何が通常損耗等に当たるかは以下の例が示されています。

具体的にはアパートの賃貸借が終わったとき、家具を置いたことによる床のへこみは直す必要がありませんが、タバコのヤニで汚れた壁紙は修理する必要があります。

通常は、敷金から引かれるという対応をされると思います。

宅建にすごくかかわりがある規定なので重要だと思いますよ。

通常損耗・経年変化に当たる例

  • 家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
  • テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
  • 地震で破損したガラス
  • 鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)

通常損耗・経年変化に当たらない例

  • 引っ越し作業で生じたひっかきキズ
  • タバコのヤニ・臭い
  • 飼育ペットによる柱等のキズ・臭い
  • 日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備等の毀損
覚えるべきポイント

賃借人は通常の損耗・経年変化による原状回復義務は負わない。例えば、家具の設置によるへこみ、鍵の取り換えは費用を負担しなくてよい

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去年の改正点まとめ

去年の改正点についても引き続き出題される可能性が高いのでこちらの記事も合わせてチェックしておくといいでしょう。

民法改正対策のおすすめ本の紹介

民法の改正が不安な人におすすめのテキストが以下の2つです。

↓ 宅建の民法の入門者に定評のある本

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