FP2級の学科試験は60問中36点以上得点すれば合格できるので、約6割の正解で合格することができます。
逆に言うと4割は間違えられるわけです。
ですので、FP2級に短期間で合格するためには学科の科目ごとにポイントを押さえて勉強すれば効率よく合格することができます。
この記事では各科目ごとに対策しておいて欲しいポイントを厳選して紹介していきます。
少し長いですが順番にみていきましょう。
タップできるもくじ
ラインフプランニングと資金計画

「ライフプランニングと資金計画」で試験問題への出題頻度が非常に高いのは、公的年金、社会保険、企業年金についてです。
公的年金
国民年金の被保険者や老齢基礎年金の受給要件について基本をしっかり押さえましょう。
国民年金の被保険者
- 第1号被保険者:第2号被保険者、第3号被保険者に該当しない日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の全ての人(自営業者など)が第1号被保険者となります。
- 第2号被保険者:被用者年金(厚生年金保険・共済組合)の加入者が該当します。
- 第3号被保険者:第2号被保険者の被扶養配偶者で、20歳以上60歳未満の人が該当します。
老齢基礎年金の受給要件
- 受給資格期間が原則として10年以上であること。
- 原則として年齢が65歳に達していること。
社会保険
各社会保険制度の内容をしっかりと整理しておきましょう。
公的医療保険制度には、健康保険と国民年金保険があります。
それぞれについて詳しく見てみましょう。
- 国民保険:被保険者と被扶養者の業務外の事由による、疾病、負傷、出産、死亡などについて保険給付を行う制度。保険者によって、全国健康保険協会管掌保険と組合管掌健康保険に分けられます。
- 国民健康保険:健康保険等の職域保険の被保険者と被扶養者以外を対象とした公的医療保険制度です。
- 後期高齢者医療:原則として75歳以上の人は、後期高齢者医療制度に加入します。
企業年金
各企業年金制度の仕組みを理解しておきましょう。
企業年金制度には、確定給付型(厚生年金基金年金および確定給付型年金)と確定拠出型(確定拠出型年金)があります。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
- 厚生年金基金年金:老齢厚生年金の一部を国に代わって運営代行し、基金独自の上乗せをすることにより、厚生年金保険よりも手厚い給付を行うことを目的とした制度です。
- 確定給付型年金:規約型企業年金と基金型企業年金の2つの制度から成り立っています。
- 確定拠出型年金:企業型年金と個人型年金があります。
ライフプランニング
ライフプランニングで頻出の可処分所得の計算式は必ず覚えておきましょう。
可処分所得の計算式
可処分所得=年収ー(所得税・住民税+社会保険料)
ライフプラン策定上の資金計画
ライフプラン策定上の資金計画では、住宅取得プランニングが重要となります。
2つの住宅ローンの返済方法はしっかりと理解しましょう。
- 元利均等返済:毎回の返済額が一定で、返済期間の経過と共に返済額のうち元金と利息が変わっていく返済方法です。
- 元金均等返済:毎回の返済額のうち、元金部分の返済が一定で、利息部分を上乗せして返済していく返済方法です。
元金均等返済は、元利均等返済に比べて返済総額が少ないが、借入当初の返済額が大きくなるというポイントを押さえておきましょう。
リスクマネジメント

リスクマネジメントでは、生命保険商品と損害保険商品、保険と税金についての知識が重要となります。
生命保険商品
主な生命保険商品としては、定期保険、終身保険、的保険特約付終身保険、こども保険、養老保険、変額保険があります。それぞれの特徴と内容をしっかり押さえておきましょう。
損害保険商品
損害保険商品も試験問題によく出題される重要なテーマです。保障内容をしっかり押さえておきましょう。
主な損害保険商品としては、火災保険、地震保険、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)、傷害保険、所得補償保険があります。
特に試験に出やすいのは地震保険です。地震保険は、地震・噴火・津波を原因とする損害を補償する保険です。
地震保険は単独で加入することができず、火災保険に付帯して契約しなければならないことも覚えておきましょう。
保険と税金
死亡保険金の課税関係を理解しておきましょう。
個人が死亡保険金を受け取った時には、一定の税金が課されます。
その課税関係は、契約者(保険料負担者)、被保険者と保険金受取人との関係によって決定します。
個人が死亡保険金を受け取った時の課税関係は以下の通りです。
- 契約者(保険料負担者)がA、被保険者がA、保険金受取人が相続人の場合:課税される税金は「相続税」となります。
- 契約者(保険料負担者)がA、被保険者がB、保険金受取人がAの場合:課税される税金は「所得税・住民税」となります。
- 契約者(保険料負担者)がA、被保険者がB、保険金受取人がCの場合:課税される税金は「贈与税」となります。
クーリングオフ
クーリングオフとは、申込日またはクーリングオフの内容を記載した書面を受け取った日のいずれか遅い日から起算して8日以内であれば、書面によって契約の申込の撤回ができるという制度です。

サト
「8日以内」及び「書面によって」というキーワードを覚えておきましょう。
金融資産運用

金融資産運用では、株式投資に関する簡単な計算をマスターしておくことが求められます。
株式投資
配当利回り、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)の計算式をしっかりと頭に入れておきましょう。
- 配当利回り(%)=[1株あたり配当金÷株価]×100
- PER(倍)=株価÷1株あたり純利益
- PBR(倍)=株価÷1株あたり純資産
試験では、この計算式を使用して実際に計算をして答えを求める機会が多いです。

サト
試験前に過去問題をたくさん解いて短い時間で答えを出せるようにしておこう!
外貨建商品
TTSとTTBを混同しないように注意しましょう。
- TTS:円を外貨に換える際のレートです。
- TTB:外貨を円に換える際のレートです。
セーフティネット
セーフティネットとして預金保護制度というものがあります。
預金保護制度とは金融機関が破綻した場合に、預金者一人あたり元本1,000万円とその利子に相当する額が保険金として支払われる制度のことです。
ただし、決済用預金(「無利息、要求払い、決済サービスを提供できる」という条件を満たす預金)については、全額保護の対象となります。
預金保険制度の対象金融商品と対象外金融商品を覚えましょう。
- 預金保険制度の対象となるもの:当座預金、普通預金、定期預金、貯蓄預金、元本補てん契約のある金銭信託、金融債(保護預かり専用商品のみ)などがあります。
- 預金保険制度の対象外となるもの:外貨預金、元本補てん契約のない金銭信託(ヒット等)、金融債(募集債及び保護預かり契約が終了したもの)などがあります。
タックスプランニング

タックスプランニングでは、10種類の所得の内容をしっかりと学習し、各種所得の範囲や課税方法を押さえておきましょう。
法人税に関する問題は頻出なのでしっかり押さえよう。
各所得の内容
所得には10種類あります(利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得(土地・建物等以外)、一時所得、雑所得、退職所得、山林所得)。
混同しないようにそれぞれの内容と課税方法について整理しておきましょう。
特に、退職所得の所得金額の計算問題は試験頻出です。
退職所得には、退職所得控除がありますが、勤続年数が20年以下か20年超かによって控除額が変わります。
退職所得金額の計算方法と退職所得控除額は暗記必須です。

サト
勤続年数に1年未満の端数がある時にはこれを「1年」としてカウントするので、計算の時は注意してね。
退職所得金額の計算方法
退職所得の金額=(収入金額ー退職所得額)×0.5
退職所得控除額
勤続年数が20年以下:40万円×勤続年数(最低80万円)
勤続年数が20年超 :800万円+70万円×(勤続年数ー20年)
法人税
法人税は試験で毎回と言っていいほど出題されるテーマです。
まずは、法人税の基本的な仕組みを押さえておきましょう。
法人税の基本事項
- 所得金額の計算:法人の事業年度の所得を、益金の額から損金の額を控除して計算します。
- 税率:原則として、所得金額に関係なく一定割合とする比例税率です。
- 事業年度、納税:法人税は、原則として事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に確定申告をして納税することになっています。
- 納税地:原則として、法人の本店または主たる事務所の所在地が納税地となります。

サト
ほかにも減価償却の仕組みや役員給与、交際費の取扱いについても頻出なので押さえておましょう!
交際費については、原則としては損金とはなりませんが、中小法人(資本金1億円以下の法人)については、交際費のうち一定の限度額までは損金として認められるので注意しましょう。
不動産

不動産では、毎回と言っていいほど不動産取引に関する問題が出題されます。
その他、不動産の有効活用方法にはどのようなものがあるのかも押さえておきましょう。
不動産取引
不動産売買における留意点はよく出題されます。
解約手付が交付された場合、相手方が契約の履行に着手するまでは買主は交付した手付金を放棄することで契約を解除でき、売主は手付金の『倍額』を償還することで契約を解除できるという内容をしっかり理解しておきましょう。
また、瑕疵担保責任と危険負担についてもよく出題されますので押さえておきましょう。
その他、借地借家法についても頻出です。
普通借地権、定期借地権、普通借家権、定期借家権は、それぞれ存続期間が定められていますが、混同しやすい部分なので注意が必要です。
特に定期借地権については、一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用定期借地権があり、それぞれ期間と契約方式、利用目的が異なります。
細かいところですが、試験に出やすいので整理して覚えましょう。
不動産の有効活用
土地の有効活用に関する事業方式も試験頻出です。
マークシート問題だと選択肢の文章が長文であったり、似ている文章表現が使われたりするので正誤間違えやすい箇所です。

サト
事業方式のそれぞれのキーワード(デベロッパーや土地所有者それぞれの関係性など)をしっかり押さえ、違いをイメージしておくことが重要だよ。
事業方式には、自己建設方式、事業受託方式、土地信託方式、等価交換方式、定期借地権方式があります。
相続・事業継承

相続と事業継承も最重要テーマの一つです。
承認と放棄、法定相続分についてしっかりと頭に入れておきましょう。
法定相続分
試験では、下記の法定相続分を暗記していることが前提での問題がよく出題されます。
特に、配偶者と直系血族、配偶者と兄弟姉妹の法定相続分は混同しやすいので注意しましょう。
- 相続人が「配偶者と子」の場合:法定相続分は、配偶者が2分の1、子が2分の1となります。
- 相続人が「配偶者と直系存続」の場合:法定相続分は、配偶者が3分の2、直径尊属が3分の1となります。
- 相続人が「配偶者と兄弟姉妹」の場合:法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
相続の承認
相続の承認には単純承認と限定承認の2種類があります。
無条件に被相続人の権利義務を承認するのが単純承認、相続で得た財産の限度においてのみ債務を負担するのが限定承認です。
この違いも押さえておきましょう。
相続の放棄
相続の放棄とは、相続の効果を拒絶する意思表示をすることです。
相続人は、相続の開始があったことを知った時から「3ヶ月以内」に、単純承認、限定承認、相続の放棄のいずれかを選んで意思決定しなければなりません。

サト
「3ヶ月以内」という期間は試験に出やすいので注意してね。