土地家屋調査士は毎年4200人ほどが受験し、その約8~9%が合格しています。
合格率を見ても簡単な試験ではないことがおわかりいただけるのではないでしょうか。
そんな難しい土地家屋調査士試験に独学で受かることはできるのでしょうか?
今回は独学で土地家屋調査士試験に挑む際の勉強法などをご紹介していきます。
タップできるもくじ
土地家屋調査士試験は独学でも合格できる?試験内容は?
結論からいうと、土地家屋調査士試験を独学で合格することはかなり「難しい」です。
一人での勉強となるとかなりの覚悟が必要になることを、肝に銘じておく必要があります。
しかし、独学で合格している方はもちろんいらっしゃいます!この記事を読んでいる方も合格者の後に続けるように勉強に励んでみてください!
他の資格試験や実務の経験があると強い
土地家屋調査士試験に合格した方の平均学習期間は1~3年くらいの方がほとんどです。
さらに合格までに2~3回試験に挑戦している方が割合的にも多いのが現状です。
もちろん個人差はありますが、合格までの道のりには少なくとも数年かかる可能性があることを覚えておきましょう。
また、司法書士や行政書士などの土地家屋調査士とも関りのある資格の勉強経験がある方や、事務所などで実際に現場を目にしたことがある方は試験勉強もスムーズに行える傾向にあります。
土地家屋調査士試験は筆記試験と口述試験がある
土地家屋調査士試験は、
- 筆記試験
- 口述試験
2段階になっています。
例年10月頃に筆記試験が行われ、そこで合格した人のみが翌年1月に行われる口述試験を受けることになります。
口述試験は一般的な態度や礼節を見ていたり、知識のアウトプットを行うことを目的としているため、ほぼ全員が合格しています。
つまり不合格者のほとんどは筆記試験の段階で落とされてしまうということです。
口述試験を侮ってはいけませんが、筆記試験に合格できるほどの知識があれば、よほどのことがない限り口述試験は不合格になることはまずないと考えてよいです。
また、土地家屋調査士試験には基準点(足切り)があるのでそれを意識した勉強もする必要があります。
勉強方法のコツ|重点的に抑えたい内容
独学で土地家屋調査士試験を受けるとなると、効率良く勉強していく必要があります。
また、苦手分野などの穴も自分で埋めなければなりません。
ここでは受験者の多くが苦手とする分野についてご紹介します。
これからお話しする内容についてはじっくり時間をかけてマスターしておきましょう。
不動産登記法などの法律について
試験の中には法律に関する問題が多く登場します。
土地関連の法律だけに留まらず、法律の文章はかなり堅い表現かつ難しい専門用語がたくさん並べられています。
これらの用語を理解するだけでもかなりの労力を要するとともに、これらの法律内容を理解しなければなりません。
また試験問題の中で言い換えられた場合にその内容が正しいのか誤りなのか、判断する能力も必要となってきます。
測量などの計算
建物や土地の計算に関する問題も出題されます。
それらは電卓が使えるものの、かなり複雑な計算式を用いて導き出します。
土地の面積計算、家屋の辺長計算、形状などの放射計算、内・外分計算など計算内容は多岐に渡ります。
これらの公式はもちろん、計算問題に慣れておく必要があるのです。
下の記事では土地家屋調査士試験で使えるおすすめの関数電卓を紹介しています。
複素数の計算もできる関数電卓ですので、ぜひ関数電卓選びの参考にしてください。
作図などの記述問題
筆記試験では一問一答形式の問題の他に実際に書いて解く記述問題もあります。
例えば申請書の書き方、作図させるような書式問題です。
これらの問題は何度も手を動かす以外の勉強法はありません。ひたすら解いて書いて、テクニックを磨きます。
おすすめのテキスト
土地家屋調査士試験のテキストは非常に少ない傾向にあります。選ぶ際のポイントを挙げておきます。
- テキストが最新版か(法改正などに対応しているか)
- 幅広く内容をカバーしているか
- 自分のレベルに合っているか(内容が理解できるか)
- 色使いやレイアウトが好みか
さらに何冊かおすすめのテキストをご紹介します。
土地家屋調査士 六法
試験に必要な法律について充実した内容が収録されています。
法律は馴染みのない言い回しや読み方などが多く、条文の内容を理解することが大変ですが、こちらの教材では大切な条文が漏れなく勉強できます。
六法全書のような難しい雰囲気ではなく、一つのテキストとして完成されているため、勉強がしやすいです。
しかし法律は度々改正されるため、内容の変更などには注意しましょう。
土地家屋調査士受験100講
土地家屋調査士の専門学校である早稲田法科専門学院から出版されているテキストで、過去の試験状況をよく分析した信頼のできる1冊になっています。
この本は理論編2冊、書式編1冊のシリーズで編集されており、まずは〔Ⅰ〕理論編から勉強するとよいです。
これまでの内容を完全網羅しているといっても過言ではないテキストですから、情報量がとても多く全て学習するまでにはたくさんの時間を要します。
しかし、このテキストの内容をマスターできれば試験でも太刀打ちできる力を身に付けることができるはずです。
土地家屋調査士 測量計算と面積計算
実践的な内容として測量や計算がありますが、これらを勉強するために上記のテキストをおすすめします。
タイトル通り試験に必須の測量計算と面積計算をとてもわかりやすく解説しています。
さらに電卓の使い方や座標の求め方といった基礎的な部分もカバーしてくれるため、勉強を始めたばかりの方でも始めやすいです。
しかし基礎的な内容が多いため、さらにランクアップした勉強をする場合は別のテキストの方がよいといえます。
おすすめの問題集
土地家屋調査士試験の問題集はテキストと同様にあまり多く出回っていません。
選べる候補が少ない分選びやすいともいえますが、自分にあったものを慎重に選びましょう。
選ぶ際のポイントは以下のような点に注目します。
- 掲載問題は解きたい分野の問題か
- 回答解説は詳しくわかりやすいか
- 色味やレイアウトが好みか
問題集もおすすめのものをいくつか挙げていきます。
土地家屋調査士 択一式過去問
土地家屋調査士試験に限らず、試験勉強をするときにはまず「過去問」を解いてみることをおすすめします。
過去問を解くことで、試験の大まかな流れや雰囲気が掴みやすく試験に対するイメージができるようになります。
まず基本的な内容をマスターするという意味で「択一式過去問集」をおすすめしていますが、この本は別に「記述式問題集」や「本試験問題と口述試験対策集」といったシリーズがあります。
他の問題集と合わせて解いてみるとより理解が深まります。
さらにこのテキストシリーズは厳選して収録されているため、初学者が要点を抑える基礎知識固めのテキストとして一番おすすめです。
土地家屋調査士 記述式合格演習テキスト
試験に出てくる基礎から応用まで幅広い範囲を網羅した演習テキストになっています。
解説が丁寧でわかりやすい点もおすすめです。
この問題集は「土地編」と「建物・区分建物編」という2冊セット販売のみとなっています。どちらかだけ購入するということができないため、他の問題集と比較して値段が高くなってしまうのがネックではあります。
土地家屋調査士 分野別書式過去問題集
最も本番の試験に近い問題集といっても過言ではありません。
上記で紹介したテキストよりも問題がたくさん掲載されてるため、その分いろんな問題に触れることはできますが、一方であれもこれもと収拾がつかなくなってしまう可能性があります。
さらに、勉強したての方がいきなり上記の問題集に挑戦すると難しくて太刀打ちできない可能性もあります。
最後の総仕上げとして解くにはとても優れた問題集ですが、最初のスタートとしてはあまりおすすめできません。
効率良く独学でも土地家屋調査士試験に合格しよう!
今回は土地家屋調査士試験に独学で挑む際のポイントやおすすめの教材についてご紹介してきました。
独学での勉強はかなり厳しいものになります。予備校などで他社に添削してもらうこともできないため、記述式の問題などは答え合わせも大変です。
独学で合格する自信がない!という人は通信講座を使うのも一つの手です。
費用はかかりますが、時間をお金で買えるので自己投資と思って思い切って申し込んでみてもいいでしょう。