【土地家屋調査士試験の概要】
- 合格率は10%前後で推移
- 試験は筆記試験と口述試験がある。
- 筆記試験は午前の部と午後の部に分かれている。
- 測量士補等を持っていれば午前の部は免除。(免除で受験する人が多い)
- 午後の筆記試験が山場。
- 口述試験はほとんど受かる。
タップできるもくじ
土地家屋調査士とは?
土地家屋調査士とは一言で言うと不動産の表示の登記に関する専門家です。
土地や建物などの不動産は、測量や調査、申請手続きをすることによって登記されます。
登記は表示の登記と権利に関する登記に分けられますが、土地家屋調査士が専門とするのは、この2つのうち不動産の規模や構造などを登記する表示の登記についてです。
土地の表示の登記の例

具体的な仕事内容としては、
- 土地の売買や宅地の造成をする際に必要な、不動産の範囲を明確にするための境界標の設置
- 土地の所在、面積を明確にする地積測量図の作成
- 不動産の表示に関する登記の代理申請
などがあげられます。
日本土地家屋調査士会連合会が土地家屋調査士の仕事について動画を作っているので見ればより土地家屋調査士の仕事についてイメージしやすくなります。
また、下の記事では土地家屋調査士の仕事がきついと言われる理由などについて詳しく書いているので土地家屋調査士の仕事に興味がある人は見てください。
土地家屋調査士の試験概要
受験資格 | なし |
試験科目 | 【筆記試験】 午前の部:平面測量10問(択一)、作図1問(記述) 午後の部:不動産登記法・民法などから20問(択一) 土地、建物から各1問(記述) 【口述試験】 1人15分程度の面接方式 |
合格発表 | 筆記試験:1月中旬 口述試験:2月中旬 |
願書配布 | 7月下旬~8月中旬 各都道府県(地方)法務局で配布・受付 |
試験日 | 【筆記試験】 10月第3週の日曜日 【口述試験】 1月下旬(筆記試験合格者のみ) |
受験地 | 東京、大阪、名古屋、広島、福岡、那覇、仙台、札幌、高松の全国9会場 |
土地家屋調査士試験の概要について説明していきます。
土地家屋調査士試験は大きくわけて、筆記試験と口述試験の2段階に分かれており、筆記試験は午前の部と午後の部に分かれています。
筆記試験の午前の部は測量士、測量士補、1級建築士、2級建築士の有資格者は免除され、ほとんどの人は測量士補を取得することにより午前の部を免除され、午後の部のみ受験しています。
ですので、土地家屋調査士試験で一番重要で難しいのは筆記試験の午後の部です。
午後の部では例年民法3問、不動産登記法16問、土地家屋調査士法1問が出題されています。
また、口述試験は筆記試験の合格者のみが受験できほとんどの人が合格できます。
土地家屋調査士試験の受験者数と合格率の推移
年度 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
令和3年 | 3,859 | ー | ー |
令和2年 | 3,785 | 392 | 10.4 |
令和元年 | 4,198 | 406 | 9.7 |
平成30年 | 4,380 | 418 | 9.5 |
平成29年 | 4,600 | 400 | 8.7 |
土地家屋調査士の受験者数は減少傾向にあり近年は4,000人を下回っています。
合格率は10%前後と難しく、独学での合格は無理ではありませんが、独学で合格するためには他の資格を持っていて知識があるなどの前提が必要となってきます。
他に資格を持っておらず、初めて土地家屋調査士試験を受験する人は通信講座を受講するのも手段の一つです。
東京法経学院という通信講座は令和2年度の合格者占有率が65.3%と高いことからおすすめの通信講座の一つとなっています。
下の記事で評判などを書いているのでぜひ参考にしてください。
土地家屋調査士試験の足切りと平均点、合格点の推移
年度 | 択一式基準点 (平均点) | 記述式基準点 (平均点) | 合格点 |
---|---|---|---|
令和3年 | 32 (30.29) | 30.5 (25.65) | 73.5 |
令和2年 | 32.5 (29.37) | 30 (24.83) | 71 |
令和元年 | 32.5 (27.52) | 33 (29.83) | 76.5 |
平成30年 | 35 (27.76) | 33.5 (32.46) | 81 |
平成29年 | 37.5 ( 30.06 ) | 36 ( 32.71 ) | 81 |
土地家屋調査士試験に合格するためには基準点、いわゆる足切り点以上かつ合格点以上の点数を獲得する必要があります。
ですので、令和3年度を例にすると、択一式問題(午後の部)において、32点以上(50点満点)かつ記述式問題(午後の部)において、30.5点以上(50点満点以上)を取る必要があります。
さらに、択一式と記述式の得点をあわせて、73.5点以上(100点満点)あれば筆記試験合格となります。
基準点は受験者全体の平均点より高くなっているため、受験生の平均より上の点数を獲得できないとその時点で不合格となってしまいます。
択一式は得点しやすいので、ここで点数を多く獲得し、記述式は基準点以上を取るように意識して勉強するといいでしょう。
択一式・基準式の基準点突破率の推移
年度 | 択一式基準点突破率 | 記述式基準点突破率 | 最終合格率 |
---|---|---|---|
令和3年 | ー | 33.6 | ー |
令和2年 | 49.9 | 30.8 | 10.4 |
令和元年 | 49.8 | 35.2 | 9.7 |
平成30年 | 51.5 | 32.1 | 9.5 |
平成29年 | 43.7 | 31.8 | 8.7 |
択一試験は約半数の人が基準点を突破しています。
しかし、記述式では約3割の人しか突破しておらず、記述式の基準点を突破することが難しいことがわかります。
記述式の基準点を突破することが合格へのキモになるでしょう。
口述試験の概要
口述試験は筆記試験の合格者に対して1月下旬頃に行われます。
試験形式は面接で1人約15分となっています。
口述試験の合格率は公表されていませんが、遅刻や二日酔いで話せないなどでない限り合格すると言われています。
面接で聞かれることは、
- 調査士法2条について
- 権利に関する登記とは何か?
- 地図の記録事項について
- 地図訂正はどんな時にされますか?
などと言われています。
特に落とそうとして試験をしているわけではなく、よっぽど常識のない人を落とすための試験になっています。
ですので、口述試験についてはあまり心配する必要はありません。
口述試験の詳細については下記にまとめているので参考にしてください。