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宅建の農地法は出題されるポイントが決まっているため得点源にしやすい法律の一つです。
この記事では図を多く使って説明しているのでイメージをつかんで農地法を得意にしてしまいましょう!
当サイトでは農地法以外も独学できる記事を書いているので参考にしてください。
農地法の目的
農地法の目的は農地を守ることです。
ですので、農地を農地以外に転用して利用する場合には規制が強くなります。

「農地を守る」という視点で農地法を勉強すれば理解しやすくなるよ!
農地と採草放牧地
農地法には農地と採草放牧地の2つがでてきます。
農地とは

農地とは「耕作の目的で使われる土地」のことをいいます。

簡単に言うと田畑のことだよ。
採草放牧地とは

採草放牧地とは「農地以外の土地で、主として耕作や家畜の放牧、家畜用の飼料等にするために草を取る目的で使われる土地」のことをいいます。

簡単に言うと牧場のことだよ。
農地と採草放牧地のポイント
農地・採草放牧地に該当するかは、土地の現況によって判断します。
登記簿上の地目が山林など農地以外でも、現況が「農地」ならば農地法上の農地に該当します。
農地・採草放牧地に該当するかは、継続的な状態で判断します。
例えば一時的に農地が資材置き場として利用されたとしても、継続的な状態で判断し農地なら農地法上の農地に該当します。
農地法3条(権利移動)
農地法3条のイメージと許可権者
農地法3条は農地の権利移動についての条文です。
イラストにするとこんな感じです。

農地や採草放牧地を他人に売買する場合が該当します。
その場合売買するには「農業委員会の許可」が必要になります。
農業委員会というのは市町村にある教育委員会の農業版みたいなものをイメージしてもらえたらいいと思います。
農地法は農地を保護する法律なので、農地を農地のまま売買し農地が減らない3条は市町村レベルの農業委員会で許可をもらえばOKです。
許可不要となる場合
相続・遺産分割等によって、権利が設定・移転される場合は許可不要。但し農業委員会への届け出は必要です。
相続などによって権利が設定・移転されるだけで農地が減るわけではないので3条許可は不要です。
但し、農地を管理する農業委員会には誰が所有者かなどを把握するために届出は必要です。
許可なしの場合の効力
農業委員会の許可を得ずに売買した場合は契約が「無効」になります。

農地法の3条・5条は許可を得ずに売買した場合、契約前の状態に戻されると覚えておきましょう。
農地法3条のポイント
3条には市街化区域内ならあらかじめ届け出しておけば許可不要という特例はない。
この特例は転用の場合の4条・5条に関する規定の特例です。
3条は権利移動なので市街化区域内かどうかは関係ありませんのでこういった特例はありません。
農地法4条(転用)
農地法4条のイメージと許可権者
農地法4条は農地の転用についての条文です。
イラストにするとこんな感じです。

農地を農地以外のものに転用する場合、農地法4条により都道府県知事の許可が必要になります(指定市町村の区域内にあっては指定市町村長)。

採草放牧地は規制の対象にならないので注意してね。
農地を転用する行為は農地を減らすのでより地位が上の都道府県知事の許可が必要になります。
許可不要となる場合
市街化区域内にある農地をあらかじめ農業委員会に届け出て転用する場合
市街化区域内は開発していい地域なので農業委員会への届け出だけでOKです。
農家が農地(2a未満)を農業用施設に供する場合
農家が農業用施設に供する場合は許可不要です。
農業用に使うなら農地のために使うわけで許可不要というわけです。
ですので、農業用ではない畜舎などでは許可不要とはなりません。
ちなみに2aは200㎡なので、小さな農業用倉庫ぐらいなら許可不要というイメージですね。
許可なしの場合の効力
4条許可を受けずに売買した場合は「原状回復」になります。
農地を宅地に転用したとしても、農地に戻さなければなりません。
4条のポイント
4条の規制の対象になるのは農地のみで、採草放牧地・山林・原野などは規制対象にならない。
転用した場合に4条許可が必要になるのは農地のみで採草放牧地などは転用しても4条許可は必要になりません。
5条では採草放牧地を転用目的で権利移動した場合には規制の対象になるので注意が必要です。

引っ掛かりやすいので注意です!
2a未満の特例は4条のみです。
しれっと5条の場合にもあてはまるみたいに出題されるので注意しましょう。
国・都道府県等が道路・農業用排水施設などのために転用する場合は許可不要です。
しかし、学校・医療施設・社会福祉施設などを作るために転用は許可が必要なので注意が必要です。
知事などと協議が成立することを持って許可があったものとみなされます。許可が不要なわけではありません。
農地法5条(権利移動+転用)
農地法5条のイメージと許可権者
農地法5条は農地の転用目的の権利移動についての条文です。
イラストにするとこんな感じです。

農地や採草放牧地を転用目的で権利移動する場合、農地法5条により都道府県知事の許可が必要になります(指定市町村の区域内にあっては指定市町村長)。

5条は3条と4条が合体したものというイメージです。
農地を転用目的で権利移動する行為は農地を減らすのでより地位が上の都道府県知事の許可が必要になります。
許可不要となる場合
市街化区域内にある農地をあらかじめ農業委員会に届け出て転用+権利移動する場合
市街化区域内は開発していい地域なので農業委員会への届け出だけでOKです。
国・都道府県等が道路・農業用排水施設などのために転用する場合は許可不要です。
しかし、学校・医療施設・社会福祉施設などを作るために転用は許可が必要なので注意が必要です。
知事などと協議が成立することを持って許可があったものとみなされます。許可が不要なわけではありません。

これは4条と同じだね。
許可なしの場合の効力
都道府県知事等の許可を得ずに売買した場合は「契約無効+原状回復」になります。
5条許可を受けずに売買した場合は「契約無効+原状回復」になります。
農地や採草放牧地を許可を受けずに転用目的で権利移動すると契約無効+原状回復しなくてはいけません。
これも3条と4条が合体した感じですね。
5条のポイント
農地を農地以外のものにするために貸し付ける場合も5条許可が必要です。一時的に貸し付けて資材置き場などに利用する場合も許可が必要です。
許可不要の例外に該当しない場合は国・都道府県が行う場合でも許可が必要
国・都道府県が何かを行う場合には許可が不要になることが多いですが、農地法4条5条では許可が必要になります。
ただし、知事と協議が成立すれば許可があったものとみなされます。
農地法に関する過去問一問一答YouTube
農地法に関する宅建の過去問
農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- 自己所有の農地に住宅を建設する資金を借り入れるため、当該農地に抵当権の設定をする場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
- 農地の賃貸借の解除については、農地の所有者が、賃借人に対して一方的に解約の申入れを行う場合には、法第18条第1項の許可を受ける必要がない。
- 登記簿の地目が宅地となっている場合には、現況が農地であっても法の規制の対象とはならない。
- 市街化区域内の自己所有の農地を駐車場に転用するため、あらかじめ農業委員会に届け出た場合には、法第4条第1項の許可を受ける必要がない。
答え:4
- 誤り:農地法3条の権利移動とは次の通りです。農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には農業委員会の許可を受けなければならない。ですので抵当権の設定は許可不要です。
- 誤り:農地法18条第1項には「農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、政令で定めるところにより都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。」旨の規定があるため許可は必要です。
- 誤り:現況が農地なら農地法の規制の対象になります。現にある農地を守るための法律なので登記簿は関係ありません。
- 正しい:市街化区域内の農地を転用する場合、農業委員会への届け出を行えば都道府県知事の許可は不要です。
農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。) の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 遺産分割によって農地を取得する場合には、法第3条第1項の許可は不要であるが、農業委員会への届出が必要である。
- 法第3条第1項の許可を受けなければならない場合の売買については、その許可を受けずに農地の売買契約を締結しても、所有権移転の効力は生じない。
- 砂利採取法第16条の認可を受けて市街化調整区域内の農地を砂利採取のために一時的に借り受ける場合には、法第5条第1項の許可は不要である。
- 都道府県が市街化調整区域内の農地を取得して病院を建設する場合には、都道府県知事( 法第4条第1項に規定する指定市町村の区域内にあってはその長)との協議が成立すれば、法第5条第1項の許可があったものとみなされる。
答え:3