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連帯債務と保証は過去5年間で2回出題されています。
出題頻度としてはあまり高くない分野になっています。
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連帯債務

連帯債務とは?
債務というのは、わかりやすく借金です。
それを数人で連帯して借りることを連帯債務と言います。
債権者は、連帯債務者の1人または同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができます。
上の図で言うと、アヒルさん(連帯債務者)はゾウさん(債権者)に1500万円全額返す必要がありますが、それと同時に連帯債務者同士では負担部分というのがあり、アヒルさんは500万円だけ負担しています。
アヒルさんが300万円だけ返済した場合(自分の負担部分以下だけ返済した)
他の連帯債務者に100万円ずつ求償(請求のこと)できる。
アヒルさんが1200万円だけ返済した場合(自分の負担部分以上を返済した)
他の連帯債務者に400万円ずつ求償できる。
アヒルさんは1500万円全額返済した場合
他の連帯債務者について500万円ずつ求償できる。

アヒルさんの返済で負担部分が減ったんだからその分返しなさい!ってことです。
連帯債務の効力
連帯債務者の一人が、例えば債務の承認をした場合、他の連帯債務者も債務の承認をしたことになるのでしょうか?
これは、原則と例外で以下のようにわかれています。
原則
相対効(連帯債務者のうちの1人に生じた事由は他の人に影響を及ぼさない)
例外
絶対効(連帯債務者のうちの1人に生じた事由は他の人に影響を及ぼす。)
弁済・相殺・更改・混同など。ただし、これ以外でも特約により絶対効とすることができる。
更改・・・当事者が従前の債務に代えて、新たな債務を発生させる契約をして、従前の債務を消滅させる行為
混同・・・債権債務が同一人に帰属して消滅すること。債務者が債権者を相続する場合など。語呂合わせでの覚え方
語呂合わせ
連帯債務している人の家なんて絶対床の底、べこべこでしょ。
連帯債務している人の家なんて絶対(絶対効)床のそ(相殺)こ、べ(弁済)こ(更改)べこ(混同)でしょ。
保証
保証とは?

保証はわかりますよね。借金の保証人になるというやつです。
債権者から借りている人を主たる債務者、保証している人を保証人といいます。
保証契約は書面か電磁的記録で締結しなければ効力を生じません。
口頭ではダメです。口頭で保証人になってしまうとなったら怖すぎですよね。
保証の性質
付従性
付従性とは保証債務の成立・変更・消滅は主たる債務の成立・変更・廃止に従うというものです。
つまり、保証債務は主たる債務にくっついているイメージです。
付従性により、主たる債務について生じた事由は原則として保証債務にも効力が及ぶのが原則です。
ただし、主たる債務の金額が増えたからといって保証債務も増えることはありません。
また、逆に保証人について生じた事由のうち、主たる債務を消滅させる弁済は、主たる債務者に対しても効力が及びます。
随伴性
随伴性とは主たる債務が債権譲渡された場合に、保証債務もいっしょに譲渡されるという性質のことです。
補充性
補充性とは主たる債務が債務不履行になった場合にはじめて保証債務の履行の義務が生じるという性質のことです。
原則として、債権者から履行を請求された場合、保証人は催告の抗弁権と検索の抗弁権という2つの抗弁権を持っています。
催告の抗弁権とは、債権者から直接支払いなどを請求された場合に、まず主たる債務者に請求してくださいと言い返せる権利のことです。
検索の抗弁権とは保証人が主たる債務者が債務を履行できるだけの資力を有しており、かつ執行が容易であることを証明すれば、債権者からの請求を拒むことができるという権利です。
この場合、債権者はまず主たる債務者の財産について執行しなければならなくなります。
ただし、主たる債務者が失踪・破産開始の決定を受けているときは検索の抗弁権を使えません。
連帯保証とは?
連帯保証とは債務者と保証人が連帯して債務を負担することをいいます。
連帯保証人には絶対になるな!と言われますが、何でなってはいけないのでしょうか?
まず、保証の性質のうち付従性・随伴性は連帯保証も同様の性質を持っています。
しかし、連帯保証は補充性の性質がないため、催告の抗弁権と検索の抗弁権を持っていません。
したがって、債権者から支払いを請求された連帯保証人は返済を拒むことができません。
また、保証人の場合は、債権が200万あって、保証人が二人いれば保証人はそれぞれ100万ずつしか請求されませんが、連帯保証人の場合は、連帯保証人が二人いても債権額全額の200万を負担します。
保証人には分別の利益があるが、連帯保証人には分別の利益がないということです。
連帯債務などに関する宅建過去問
債務者A、B、Cの3名が、令和3年7月1日に、内部的な負担部分の割合は等しいものとして合意した上で、債権者Dに対して300万円の連帯債務を負った場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- DがAに対して裁判上の請求を行ったとしても、特段の合意がなければ、BとCがDに対して負う債務の消滅時効の完成には影響しない。
- BがDに対して300万円の債権を有している場合、Bが相殺を援用しない間に300万円の支払の請求を受けたCは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。
- DがCに対して債務を免除した場合でも、特段の合意がなければ、DはAに対してもBに対しても、弁済期が到来した300万円全額の支払を請求することができる。
- AとDとの間に更改があったときは、300万円の債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
答え:2