※ 文中の灰色の部分はタップやクリックすると答えが見れます。
借家権は毎年1題出題される重要分野です。
細かい引っかけが多く、過去問を解いても苦労しますが、頻出のところを中心にしっかり勉強していきましょう。
定期借家権のところはホントによく出題されています。
関連 請負
借家権とは
借家権とは借主が持っている権利のことを言い、借地借家法では借家人保護のために様々なことを定めています。
借家権の存続期間
民法の賃借権の最長期間50年を超える契約も可能。
1年未満の契約期間だと期間の定めのない賃貸借契約になる。(ただし、定期借家契約は1年未満でもOK)
参考 民法の賃貸借期間
借家権の更新
期間の定めのある場合
契約期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に更新しない旨の通知をしないと期間の定めのない契約として更新される。
1年前から6ケ月前に契約更新しない旨の通知をしていても、借主が使用を継続して、貸主が異議を言わなければ契約は更新されます。(更新しない旨の通知をしたからと言って、契約は絶対終了するわけではない。)
期間の定めのない場合
賃貸借契約期間に定めがないので当事者が解約の申し入れをするまで原則続きます。
貸主から出て行って!という場合には正当事由及び6ヶ月間の猶予が必要です。
正当事由については、建物の使用を必要とする事情など総合的に勘案して決定するので、立退料を払えばそれだけで正当事由があるとはなりません。
借主から解約を申し入れる場合は3ヶ月間の猶予が必要で正当事由はいりません。
造作買取請求権 頻出

エアコン壊れたから、新しくするよ~

わかりました。勝手にしてね!(設備がよくなってラッキー!)
建物の貸主の同意を得て建物にエアコンなどの造作をつけた場合、賃借人は、期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、貸主にその造作を時価で買い取るべきことを請求することができます。
これを造作買取請求権といいます。
※ 造作買取請求権を認めない旨の特約は有効
※ 造作買取請求権は転借人にも認められています。
※ 借主の債務不履行や背信行為による契約の終了のときは造作買取請求権は認められません。
借家権の対抗力
建物の引き渡しを受けていれば借家権を第三者に対抗できます。

借地権の対抗要件は借地上の建物の表示の登記でしたね。
契約終了時の転借人の保護
建物が転貸借されており原賃貸借契約が期間満了や解約申し入れで終了する場合、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない。
そして、転貸借契約は通知があってから6ヶ月後に終了する。
債務不履行で原賃貸借契約が終了する場合は6ヶ月を待つことなく、賃貸人は転借人に対抗することができます。(民法の規定通り)
定期借家権
定期借家権とは
定期借家権とは期間が決まっている賃貸借契約のことです。
普通の借家権だと借主に出て行ってもらうには正当事由が必要ですが、定期借家権なら正当事由がなくても出て行ってもらうことができます。
ですので、転勤で4年後には帰ってくることが決まっているとかの事情があるときに便利な制度です。
定期借家権の存続期間
定期借家権なので契約期間を定める必要があり、1年未満の期間でもOKです。(借家権はダメでしたよね。)
貸主は、あらかじめ、借主に建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。なお、賃借人の承諾を得て、電磁的方法による提供が可能。(契約書とは別の書面で説明する必要がある。契約書も書面を交わさないとダメ。書面を交付して説明しないとダメ。書面の交付だけ、説明だけでは不十分)頻出
※ 説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは無効
※ 契約の更新等がないこととする旨を定めた特約は書面ですることとされていましたが、その特約の内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その特約は書面によってされたものとみなされます。

あらかじめ決まった期間で退去していくことを前提にしているからトラブルにならないように書面+説明まで求めているんだね。
契約の更新
期間が1年以上の場合、貸主は期間の満了の1年前から6ヶ月前までの間に借主に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしないと、その終了を建物の賃借人に対抗することができず、期間の定めのない契約として更新されます。
居住用の建物の賃貸借(200㎡未満の建物に係るものに限る。)において、親族の介護その他のやむを得ない事情により、自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、借主は、解約の申入れをすることができます。
定期借地契約では賃料を増額・減額しない旨の特約は有効です。
借家契約では増額しない旨の特約は有効。減額しない旨の特約は無効。
借地借家法(借家)に関する過去問一問一答YouTube
借地借家法(借家)に関する宅建過去問
賃貸人Aと賃借人Bとの間で令和4年7月1日に締結した一時使用目的ではない建物賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)の終了に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
- 本件契約に期間を2年とする旨の定めがあり、AもBも更新拒絶の通知をしなかったために本件契約が借地借家法に基づき更新される場合、更新後の期間について特段の合意がなければ、更新後の契約期間は2年となる。
- 本件契約において期間の定めがない場合、借地借家法第28条に定める正当事由を備えてAが解約の申入れをしたときには、解約の申入れをした日から6月を経過した日に、本件契約は終了する。
- 建物の転貸借がされている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了するときは、Aが転借人に本件契約の終了を通知した日から6月を経過することによって、転貸借契約は終了する。
- BがAの同意を得て建物に付加した造作がある場合であっても、本件契約終了時にAに対して借地借家法第33条の規定に基づく造作買取請求権を行使することはできない、という特約は無効である。
答え:2
- 誤り:更新後の期間については期間に定めのないものとなります。
- 正しい
- 誤り:原賃貸借が債務不履行により終了しているので、6ヶ月を待つことなく転貸借契約は終了します。
- 誤り:造作買取請求権を認めない旨の特約は有効です。