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宅地造成等規制法(以下宅造法)は毎年1題出題される分野です。
細かな数字も出てきますが、勉強する量は多くないのでしっかり勉強しましょう。
宅造法の目的
宅地造成等規制法は宅地造成に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的としています。
法律の目的は出題されませんが、まずは法律のイメージを持ちましょう。
用語の定義
宅地造成等規制法における「宅地」「宅地造成」の用語の意味を勉強していきます。
宅地とは?

宅造法における宅地とは農地、採草放牧地及び森林並びに道路、公園、河川その他公共施設の土地以外の土地をいいます。
宅地造成とは?

宅地造成とは宅地以外の土地を宅地にするため(転用だけで宅地造成をしない場合は許可不要です。ただし届出は必要)または宅地において行う土地の形質の変更で政令で定めるもの(宅地を宅地以外の土地にするために行うものを除く。)をいいます。
土地の形質の変更とは具体的にどのような工事を言うのかが次に学ぶことです。
土地の形質の変更とは?
土地の形質の変更というのは次のいずれかに該当する工事を言います。
- 高さ2mを超える崖を生じる切土

- 高さ1mを超える崖を生じる盛土

- 切土と盛土とを同時にする場合に、当該盛土により高さが1m以下の崖を生じ、かつ、切土及び盛土より高さが2mを超える崖を生ずることとなるもの
- 切土又は盛土をする土地の面積が500㎡を超えるもの
宅造区域の指定の仕方
都道府県知事は、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域であって、宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものを、宅地造成工事規制区域として指定することができます。
宅造区域は都市計画区域の外でも指定することができます。
指定をするときはその旨を関係市町村長に通知しなければなりません。
宅造区域での許可申請の手続き
宅造区域内で工事を行う人はどのような許可申請をする必要があるのか手続きの方法をみていきましょう。
造成主は工事に着手する前に都道府県知事の許可を受けなければならない。
都市計画法の開発許可を受けた土地の造成工事については許可不要
【造成主とは?】
宅地造成に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいいます。
以下の工事は資格を有する者が設計する必要があります。
- 高さが5mを超える擁壁の設置
- 切土又は盛土をする土地の面積が1500㎡を超える土地における排水施設の設置
都道府県知事は申請があったときは、遅滞なく許可・不許可の処分をしなければならない。
知事は許可する場合、災害防止のため工事に条件をつけることができます。
工事計画を変更するときは、変更内容について知事の許可を受ける必要がありますが、一定の軽微な変更(工事施行者の変更、工事着手・完了の予定日の変更など)については許可不要で届出だけでOKです。
工事完了後、都道府県知事の検査を受ける必要があります。
宅造区域内での届出制
宅造区域内で宅地造成に該当せず、許可不要なら勝手に工事をしていいのかと言えばそんなことはありません。
許可は不要ですが、災害防止のため必要な一定の行為については知事に届け出る必要があります。
以下の要件に該当しない場合は届出も不要です。
また、宅造区域外で行われる、宅地造成については許可も届出も不要です。
届出する必要がある人 | 届出期限 |
---|---|
宅造区域の指定の際、既に宅造区域内において行われている宅地造成に関する工事の造成主 | 指定後21日以内 |
宅造区域内の宅地において、擁壁等に関する工事その他高さ2mを超える擁壁や排水施設等の除却の工事を行おうとする者 | 工事に着手する前の14日以内 |
宅造区域内において、宅地以外の土地を宅地に転用した者 | 転用した日から14日以内 |
宅造区域内での監督処分
宅造区域内で悪いことをすると知事から監督処分を受けます。
例えば、偽りによって宅造区域内で工事の許可を受けた、許可の条件に違反したものに対してその許可を取り消すことができます。
造成宅地防災区域

2004年に起きた新潟県中越地震では宅造区域外で土砂崩れなどが多く起こったため宅造法が改正され、造成宅地防災区域の規定が設けられました。
造成宅地防災区域の指定
都道府県知事は、必要があると認めるときは、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって政令で定める基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。
指定の理由がなくなったときは、その指定が解除されます。
なお、宅地造成区域内の土地は除かれます。
勧告と義務
都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、災害の防止のため必要があると認める場合においては、その造成宅地の所有者、管理者又は占有者に対し、擁壁等の設置又は改造その他災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。

造成宅地防災区域に指定したんだから、擁壁とかしっかり管理してくださいね!
造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者、管理者又は占有者は、災害が生じないよう、その造成宅地について擁壁等の設置又は改造その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。

区域に指定されたので擁壁などをしっかり管理します!
宅地造成等規制法にに関する過去問一問一答YouTube
宅地造成等規制法に関する宅建過去問
宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
- 宅地造成工事規制区域外において行われる宅地造成に関する工事について、造成主は、工事に着手する前に都道府県知事に届け出なければならない。
- 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内における宅地の所有者、管理者又は占有者に対して、当該宅地又は当該宅地において行われている工事の状況について報告を求めることができる。
- 宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行う場合、宅地造成に伴う災害を防止するために行う高さ5mを超える擁壁に係る工事については、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。
- 都道府県知事は、偽りその他不正な手段によって宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の許可を受けた者に対して、その許可を取り消すことができる。
答え:1
- 誤り:宅地造成工事規制区域外で行われるものは届出不要です。
- 正しい:そのままです。
- 正しい:そのままです。
- 正しい
宅地造成等規制法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
- 宅地造成工事規制区域内において、宅地を造成するために切土をする土地の面積が500㎡であって盛土を生じない場合、切土をした部分に生じる崖の高さが1.5mであれば、都道府県知事の法第8条第1項本文の工事の許可は不要である。
- 都道府県知事は、法第8条第1項本文の工事の許可の申請があった場合においては、遅滞なく、文書をもって許可又は不許可の処分を申請者に通知しなければならない。
- 都道府県知事は、一定の場合には都道府県(地方自治法に基づく指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)の規則で、宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の技術的基準を強化し、又は付加することができる。
- 都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成工事規制区域内で、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって一定の基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。
答え:4
- 正しい:宅造区域内においては、切土2m超える、盛土1m超える、切土又は盛土をする土地の面積が500㎡を超える場合には工事の許可が必要です。ですので本問では許可は不要です。
- 正しい:そのままです。
- 正しい:そのままです。
- 誤り:造成宅地防災区域は宅造区域以外で指定されます。宅造区域はすでに規制しているのでそれ以外を規制するイメージです。