営業保証金の仕組みをわかりやすく解説。供託・還付・取戻しについて

営業保証金

※ 文中の灰色の部分はタップやクリックすると答えが見れます。

営業保証金の制度を簡単に図示するとこんな感じです。

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営業保証金の仕組み

営業保証金は宅建業者が事業を始める前に供託所に供託金を預けておいて、宅建の取引でお客さんが損害を被った場合、お客さんが損害金を還付してもらえる仕組みです。

この制度は、知識や経験の少ない一般の人を保護するための制度なので宅建業者には適用されません。

では、供託・還付・取戻しの順番に詳しく見ていきましょう。

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営業保証金の供託

営業保証金制度の供託を勉強する場合は「いつ」までに「何を」「いくら」「どこに」供託するのか順番に勉強していくといいでしょう。

いつまでに供託すればいいの?

宅建業の免許を受けたあと、事業を開始するまでに供託してください。

支店が増えた場合も供託してから事業を開始してください。

順番は以下の通りです。

免許取得もしくは支店増設 → 供託 → 届出 → 事業開始

何を供託すればいいの?

現金のほか、有価証券でもOKです。

でも有価証券の場合は現金より信用力が劣るので、

  • 国債→額面の100
  • 地方債・政府保証債→額面の90
  • それ以外の国土交通省令で定める有価証券→額面の80

いくら供託すればいいの?

主たる事務所は1,000万円、従たる事務所は1か所につき500万円です。

保証協会の場合

保証協会の場合、主たる事務所は60万円、従たる事務所は30万円

サト
サト

営業保証金はめちゃくちゃ高いのであとで勉強する弁済業務保証金制度というのが用意されています。

還付が行われたり、事務所が増えたりして供託額が不足してしまった場合

免許権者から不足額を供託するよう通知を受けた日から2週間以内に追加供託をし、また、追加供託をしてから2週間以内に供託した旨を免許権者に届け出る必要があります。

どこに供託したらいいの?

主たる事務所の最寄りの供託所に支店分も一括して供託してください。

主たる事務所が移転した場合は供託所を変える必要があります。

この手続きを保管替えといいます。

保管替えは「金銭だけで供託している場合」と「有価証券を含んで供託している場合」の2パターンがあります。

金銭だけで供託している場合

現在供託している供託所に供託先を変えるよう請求します。

有価証券を含んで供託している場合

移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。

一時的に移転後と移転前の2つの供託所に供託する二重供託の状態になります。

この場合は移転前の供託所から公告なく直ちに取り戻すことができます。

これらの手続きは主たる事務所を移転したら遅滞なくする必要があります。

供託した後どうしたらいいの?

供託したあとは供託した旨を免許権者に届け出してください。

免許権者は業者免許を発行したあと、3か月経っても供託した旨の届け出がないと催告してきます。

催告したにもかかわらず1か月経っても供託しない人は免許権者は免許を取り消すことができます。(チュートリアルの徳井みたいに想像を絶するルーズな人は免許を取り消される可能性がありますw)

営業保証金の還付

宅建業が供託所に供託したお金がお客さんの損害補償に使われること還付と言います。

どんな人が還付を受けられるの?

宅地建物取引業に関し取引をしそれにより債権を有したものです。

宅建業の取引に関して生じた債権を有する者である必要があるため、広告を依頼した場合に広告代理店が取得した報酬債権では営業保証金の対象になりません

宅建業の取引に関して生じた債権とは、最初に勉強した売買、交換、貸借などです。

→ 宅地建物取引業の取引とは?

還付を受けられる範囲は?

還付を受けることができる範囲は、その業者が供託している営業保証金の範囲内です。

営業保証金の取戻し

宅建業者が供託所に供託していたお金を返してもらうこと取戻しと言います。

取戻しには全額取り戻す場合と一部取り戻す場合の2つがあります。

全部取戻せる場合

  • 免許を更新しなくなったなど、宅建業の仕事をしなくなったとき
  • 有価証券を含んで供託していて供託し直したとき(還付の二重供託ところで勉強しました。)
  • 弁済業務保証金制度を活用したとき

一部取戻せる場合

事務所を一部廃止したとき

取戻しの手続き

原則

取戻しの手続きは「私に対して債権持っている人いませんか?供託所からお金取戻しちゃいますよ〜」と言うために、か月以上の期間を定めて、権利を申し出てもらうよう公告します。

その後、遅滞なく公告した旨を免許権者に届け出します。

例外

原則は公告してから取戻す必要がありますが、以下の場合は例外的に公告不要で直ちに取り戻すことができます。

  • 二重供託の場合
  • 弁済業務保証金制度を活用したとき
  • 取戻し事由が発生してから10年以上が経過したとき(民法上の債権の時効消滅と同じ期間。時効期間が経過しているから大丈夫ということ。)

頻出

事務所を廃止した場合、供託金を取り戻すには営業保証金の場合、公告する必要がありますが、弁済業務保証金分担金の場合は公告する必要がないので注意しましょう!

営業保証金に関する過去問一問一答YouTube

営業保証金に関する宅建過去問

令和3年10月 問34

宅地建物取引業法の規定に基づく営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 国土交通大臣から免許を受けた宅地建物取引業者が、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託した場合、当該供託所から国土交通大臣にその旨が通知されるため、当該宅地建物取引業者は国土交通大臣にその旨を届け出る必要はない。
  2. 宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有するが、取引をした者が宅地建物取引業者に該当する場合は、その権利を有しない。
  3. 営業保証金は、金銭による供託のほか、有価証券をもって供託することができるが、金銭と有価証券とを併用して供託することはできない。
  4. 有価証券を営業保証金に充てる場合における当該有価証券の価額は、国債証券の場合はその額面金額の100分の90、地方債証券の場合はその額面金額の100分の80である。

答え:2

  1. 誤り:供託した後は免許権者に届け出る必要があります。
  2. 正しい:営業保証金の制度は宅建業者には適用がありません。
  3. 誤り:併用して供託することはできます。
  4. 誤り:国債は100%、地方債は100分の90です。

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