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これから勉強するのは宅地建物取引「士」としての宅建士証交付までの流れや資格の登録、欠格事由です。
今まで勉強してきたのは宅建「業」としての話です。
似ている部分も多いのでごちゃごちゃにならないように意識して勉強していきましょう。
関連 営業保証金
宅地建物取引士になるまでの流れ
宅建士になるまでの流れは上のようになっています。
合格したら実際に手続きしないといけないので、自分の事としても重要です。
宅建士になるにはまず、宅建試験に合格する必要があります。(合格したら一生有効です。)
この際、不正受験者には合格取り消しや3年以内の再受験禁止等が課される可能性があります。
そして、試験に合格し
- 欠格事由に該当しない。
- 2年以上の実務経験がある又は国土交通大臣の登録実務講習を修了
の2つの条件を満たせば資格の登録の申請ができます。
登録の申請は試験合格地の都道府県知事に申請するので間違えないようにしましょう。(資格の登録も一生有効です。)
資格を登録したら、今度は交付の申請です。
ここでは合格から1年以内なら法定講習を受ける必要はありませんが、1年以上経過しているときは法定講習を受けて、取引士証を交付してもらいます。
法定講習は交付の申請前6カ月以内に行われるものを受講しなければなりません。(これは更新する場合も同じ。)
宅建士でなければできないこと(独占業務)
宅建士でないとできないことは以下の3つです。この3つ以外は宅建士がする必要はありません。
また、以下の3つは専任の宅建士でないとできない!なんてことはありません。宅建士であればできます。
宅建士でないとできないこと
- 重要事項の説明
- 35条書面(重要事項説明書)の記名押印
- 37条書面(契約書)の記名押印
宅建士登録の欠格事由
宅建士に登録するためには欠格事由に該当しない必要がありますが、この欠格事由は業者免許の欠格事由と重なる部分も多いです。
ここでは業者免許と異なる部分だけを学習していきましょう。
一定の理由で登録削除処分を受けた者で、登録削除処分の日から5年を経過していないもの
- 不正の手段で登録を受けた
- 不正の手段で宅建士証の交付を受けた
- 事務禁止処分に該当し、情状が特に重い
- 事務禁止処分に違反した
- 宅建士でない者が宅建士としての事務を行い、情状が特に重い
上の一定の理由により登録の削除処分の聴聞の期日等が公示された後に相当の理由なく、自ら登録の削除を申請した者で、その登録が削除された日から5年を経過してしていない者
事務禁止処分を受け、その禁止の期間中に本人からの申請により登録が削除され、事務の禁止期間がまだ満了していない者
宅建業に係る営業に関し、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者は登録を受けることができない。
成年者と同一の行為能力を有しない未成年者とは宅建業を営むことについて、法定代理人から許可を持っていない未成年者をいいます。
関連 制限行為能力者(未成年)
業者免許の場合との違いは、法定代理人が欠格自由に該当しているかどうかです。
業者免許の場合は法定代理人が欠格事由に該当していなければOKですが、宅建士免許の場合は法定代理人が欠格事由に該当しているかどうかは関係ありません。
資格登録の内容
試験に合格した後、受験地の都道府県知事に登録を申請しますが、登録は宅建士資格登録簿として以下の内容が登録されます。
(宅建士資格登録簿は一般の閲覧に供されませんが、業者名簿は一般の閲覧に供されるので注意してください。)
- 氏名
- 住所
- 本籍及び性別
- 従事している宅地建物取引業者の商号又は名称及び免許証番号
- 試験の合格年月日及び合格証書番号
- 生年月日
- 登録番号、登録年月日
上の太字の事項に変更があった時は遅滞なく変更の登録を申請しなければなりません。
業者名簿のときは30日以内に届け出しなければならないので違いに注意しましょう。
登録内容の変更は事務禁止処分期間中でもしなければなりません。
事務禁止期間中でも登録内容を最新の状態に保つためだめですね。
業者名簿の登載事項とごちゃ混ぜにならないように意識しましょう。
関連 業者名簿の登載事項
登録の移転
宅建士証は有効期間5年で、更新するたびに知事指定の法定講習を受ける必要があります。
しかし、転勤などにより遠くに行ってしまった場合に、登録していた都道府県まで帰ってきて講習を受けるのは負担が大きすぎます。
そこで、登録の移転という制度があります。
登録の移転は、登録している人の負担を軽減するための制度なので基本的なスタンスは登録の移転をしてもしなくてもどっちでもいいという感じです。
登録の移転のポイントは以下の通りです。
- 登録している都道府県以外に勤務または勤務しようとしているときに登録の移転ができる(住所の変更だけではだめ。住所が変わっただけでコロコロ資格の登録を変えられたら、知事は宅建士を管理できないですよね。)
- 登録の移転は義務ではない
- 事務禁止期間中はできない
- 登録の移転の申請は現在登録している知事(例では東京)から移転先の知事(北海道)に対して行う
- 宅建士証の有効期間は移転前の宅建士証の有効期間を引き継ぐ
- 新しい宅建士証は古い宅建士証と引き換えにもらえる
宅建士の死亡などの届出
業者免許の場合と似ているのでサラッと見ておけば十分でしょう。
当たり前ですが、届出先は登録を受けている都道府県知事です。
届出義務者 | 届出期限 | |
---|---|---|
死亡 | 相続人 | 事実を知った日から30日以内 |
破産 | 本人 | その日から30日以内 |
一定の罪による罰金刑または禁錮刑以上 | 〃 | 〃 |
暴力団員になった | 〃 | 〃 |
精神に機能障害がある一定の者になった場合 | 本人 法定代理人 同居の親族 | 〃 |
業者の廃業などの届出とごちゃ混ぜにならないように意識しましょう。
関連 業者の廃業などの届出
宅建士証
宅建士証の見本はこんな感じです。
宅建士証の有効期間は業者免許と同じく5年です。
じゃあ、この宅建士証を使うのはどんな時なのでしょう?
これを使うときは2つあります。
- お客さんなどから宅建士証を見せて欲しいと言われた時
- 重要事項の説明を行うときです。
重要事項の説明の場合はお客さんから見せて欲しいと言われなくても見せなければなりません。
書換え交付と再交付の申請
宅建士は氏名や住所を変更した場合は、資格登録の変更を遅滞なく行う必要があり、また書換え交付の申請を合わせて行う必要があります。
宅建士証を紛失または破損してしまった場合は再交付の申請をすることができます。
宅建士証を紛失したと思ったら出てきた場合は、発見した方の古い宅建士証を返納しなければなりません。
宅建士証の返納と提出
返納
- 登録が削除されたとき
- 宅建士証が失効したとき
は交付を受けた知事に返納する必要があります。
提出
事務禁止処分を受けたときは速やかに交付を受けた知事に提出しなければなりません。
この義務を怠った場合は、10万円以下の過料に処せられることがあります。
事務禁止期間が満了し、提出者が返還請求をすれば直ちに返してもらえます。(請求しないと返してくれません。)
返納も提出も返すのは交付を受けた知事だよ。
返納と提出の言葉の意味の違いは、
- 返納・・・戻ってこない
- 提出・・・戻ってくる
です。高齢者になったから免許をを返納するとかニュースになってますよね。
宅建士の設置義務
宅建業者は事務所やその他国土交通省令で定める場所ごとに、成年者である専任の宅建士を置かなければなりません。
未成年の宅建士は原則、専任の宅建士になれませんが、①宅建業者本人である場合、②法人の役員である場合、③結婚している場合には成年の宅建士として扱われます。
設置すべき人数
事務所には宅建業者の業務に従事する者の5人に1人以上
国土交通省令で定める場所には1人以上
不足した場合
2週間以内に補充しなければなりません。
国土交通省令で定める場所とは?
以下の1~4に該当し、かつ、契約を締結し、または申し込みを受ける場所のことを言います。
このような場所のことを案内所といい、契約の締結や申込みを受ける際に宅建士による重要事項の説明などが行われます。
- 継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で事務所以外のもの
- 一団(10区画以上、10戸以上のこと)の宅地建物の分譲を行う場合の案内所
- 他の宅建業者の一団の宅地建物の分譲の代理や媒介をする場合の案内所
- 展示会場・催し会場
宅建士になるまでに関する過去問一問一答YouTube
宅建士になるまでに関する宅建過去問
宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 宅地建物取引業者Aは、一団の宅地建物の分譲をするため設置した案内所には、契約を締結することなく、かつ、契約の申込みを受けることがないときでも、1名以上の専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
- 宅地建物取引業者Bは、その主たる事務所に従事する唯一の専任の宅地建物取引士が退職したときは、2週間以内に、宅地建物取引業法第31条の3第1項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。
- 宅地建物取引業者Cが、20戸の一団の分譲建物の売買契約の申込みのみを受ける案内所甲を設置した場合、売買契約の締結は事務所乙で行うとしても、甲にも専任の宅地建物取引士を置かなければならない。
- 法人である宅地建物取引業者D社の従業者であり、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有する20歳未満の婚姻歴のない宅地建物取引士Eは、D社の役員であるときを除き、D社の専任の宅地建物取引士となることができない。
答え:1
- 誤り:契約を締結することなく、かつ、契約の申し込みを受けることがない場合には宅建士を置く必要はありません。
- 正しい
- 正しい
- 正しい:原則、未成年は専任の宅建士になれません。例外として宅建業者本人である場合、婚姻している場合、法人の役員である場合には専任の宅建士として扱われます。
宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「登録」とは、宅地建物取引士の登録をいうものとする。
- 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士は、乙県に主たる事務所を置く宅地建物取引業者の専任の宅地建物取引士となる場合、乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。
- 宅地建物取引士の氏名等が登載されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはされていないが、専任の宅地建物取引士は、その氏名が宅地建物取引業者名簿に登載され、当該名簿が一般の閲覧に供される。
- 宅地建物取引士が、刑法第204条(傷害)の罪により罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合、当該登録が消除された日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。
- 未成年者は、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有していたとしても、成年に達するまでは登録を受けることができない。
答え:2
- 誤り:登録の移転は義務ではなく任意です。
- 正しい
- 誤り:登録が削除された日からではなく、刑の執行が終わった日からです。
- 誤り:宅建業に係る営業に関し、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者は登録を受けることができません。ですので、成年者と同一の行為能力を有していれば登録することはできます。
宅地建物取引士の登録(以下この問において「登録」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 宅地建物取引士A(甲県知事登録)が、乙県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事することとなったときは、Aは甲県知事を経由せずに、直接乙県知事に対して登録の移転を申請しなければならない。
- 甲県知事の登録を受けているが宅地建物取引士証の交付を受けていないBが、宅地建物取引士としてすべき事務を行った場合、情状のいかんを問わず、甲県知事はBの登録を消除しなければならない。
- 宅地建物取引士C(甲県知事登録)は、宅地建物取引業者D社を退職し、宅地建物取引業者E社に再就職したが、CはD社及びE社のいずれにおいても専任の宅地建物取引士ではないので、勤務先の変更の登録を申請しなくてもよい。
- 甲県で宅地建物取引士資格試験を受け、合格したFは、乙県に転勤することとなったとしても、登録は甲県知事に申請しなければならない。
答え:4
- 誤り:登録の移転は登録している知事を経由して行います。
- 誤り:情状が特に重い場合に登録削除処分となります。
- 誤り:従事している宅地建物取引業者の商号又は名称及び免許証番号は資格登録簿の登載事項となっているので変更があれば申請する必要があります。
- 正しい:登録の申請は試験を受けた場所の知事に対して行う必要があります。
宅地建物取引士の登録(以下この問において「登録」という。)及び宅地建物取引士証に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
- 宅地建物取引士(甲県知事登録)が事務禁止処分を受けた場合、宅地建物取引士証を甲県知事に速やかに提出しなければならず、速やかに提出しなかったときは10万円以下の過料に処せられることがある。
- 宅地建物取引士(甲県知事登録)が宅地建物取引士としての事務禁止処分を受け、その禁止の期間中に本人の申請により登録が消除された場合は、その者が乙県で宅地建物取引士資格試験に合格したとしても、当該期間が満了していないときは、乙県知事の登録を受けることができない。
- 宅地建物取引士(甲県知事登録)が甲県から乙県に住所を変更したときは、乙県知事に対し、登録の移転の申請をすることができる。
- 宅地建物取引士(甲県知事登録)が本籍を変更した場合、遅滞なく、甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
答え:3
- 正しい
- 正しい
- 誤り:登録の移転の申請は住所の変更だけでなく、事務所に従事する必要があります。また、登録の移転の申請は現在登録されている知事に対して行います。
- 正しい