※ 文中の灰色の部分はタップやクリックすると答えが見れます。
借地借家法(借地)は毎年出題される重要分野です。
民法の賃借権の絡みや存続期間の数字などがたくさん出てくるのでけっこう難しいですが、覚え方のコツなどを紹介しているのでがんばって勉強していきましょう!
借地借家法の読み方はしゃくちしゃっかほう、しゃくちしゃくやのどちらでもいいみたいだけど、しゃくちしゃっかほうの方が優勢らしいよ。
次の記事 借地借家法(借家)
借地権とは
土地を借りる方法には地上権と賃借権の2つの方法がありますが、建物所有を目的とした地上権と土地賃借権を地上権と言います。
※ 建物所有を目的としない資材置場等として賃借する場合は民法の賃借権の規定が適用される。
借地権者は土地を借りて商売などをしますが、基本的に土地を借りている立場なので地主に比べて弱い立場になってしまいます。
そこで、借地権者を保護してあげようという法律が借地借家法です。
一時使用のために設定されることが明らかな場合は借地借家法の保護の対象外になります。
借地権者=借主、借地権設定者=貸主なのでどっちがどっちかしっかり覚えておきましょう。
これを覚えておかないと以下の文章の意味がわからなくなってしまいます!
私は、借地権を設定される人が貸主と覚えています。
借地権の存続期間
借地権の存続期間は最短で30年。
期間の定めがないときは30年になります。
なぜ、30年なのかは木造の耐用年数に合わせているからかな・・・と個人的に思って覚えています。
数字には意味があると思うので、無理に暗記しようとせず、自分なりに理解しておけば暗記しやすくなりますよ。
当事者同士で借地の期間を20年と決めても、30年になります。
借地借家法は借地権者を保護します!
借地権の更新
合意更新
借地権設定者と借地権者が更新に合意した場合は、最初の更新は20年以上、2回目以降は10年以上と定めなければなりません。
30・20・10と期間が減っていくわけですね。
請求と法定による更新
建物があるので借地契約を更新してください!お願いします!
土地を使いたいから借地契約は更新しません!ダメ!絶対だめ!
借地権者と借地権設定者で契約の更新ができない場合、借地権設定者は遅滞なく異議を述べ、更新しないことについて正当な理由が必要です。
正当な理由がなく契約が更新された場合は合意更新と同じく、初回は20年以上、2回目以降10年以上となります。
借地上の建物の再建築
土地借りて家まで建てたのに、家が全部燃えてもたで・・・・
新しく家を建てたいんですけど・・・いいですか?
どうしようかな。。。
私が承諾するかどうかでけっこう変わるんだよな。
パターンが多いから受験生のみんなは苦しんでね!フフフ
最初の契約期間
借地権設定者が承諾(×意義を述べない限り)
承諾があった日か再築された日の早い日から20年間は借地権は存続する
借地権設定者が承諾しない
契約期間中なので再築可能。契約期間の満了により借地契約は終了。
借地権設定者が返事をしない
2ケ月以内に借地権設定者は承諾しないと承諾があったものとみなされる
更新後の期間
借地権設定者が承諾
承諾があった日か再築された日の早い日から20年間は借地権は存続する
借地権設定者が承諾しないけど、借地権者建物を建てることについてやむを得ない理由がある場合
借地権者は借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可を求めることができる。
借地権設定者が承諾していないのに建物を建ててしまった場合
借地権設定者のほうから借地権の消滅を請求できる。
建物買取請求権
借地権設定者に正当な事由があって借地権が更新されない場合、建物はどうなってしまうのかというのが次の話です。
借地権が正当な事由などがあって更新されない場合、借地権者は借地権設定者に建物を時価で買い取るよう請求できます。
法定地上権と同じでせっかく使える建物を取り壊すのは社会的な損失という観点から認められているそうです。
しかし、実質的には建物が古いことが多くそれほどの負担にならないそうです。
借地権者の債務不履行で借地契約が終了するときは建物買取請求権は認められないよ。
借地権の対抗力 頻出
借地権者は借地上に登記した建物を持っていれば借地権を第三者に主張できます。
※ 建物登記は表示の登記だけでもよい。
※ 借地権者と建物の登記は同一名義であることが必要。建物登記は息子名義とかだと×
※ 借地する一筆の土地の上に複数の建物がある場合は1棟について登記があれば借地権の対抗力は土地のすべてに及びます。
※ 2筆を一体的に使用していても建物がないほうの土地については対抗できません。ある方の土地については対抗できる。借地権の範囲の問題です。
また、建物が全焼などにより滅失した場合でも土地上に滅失建物を特定するために必要な事項等を掲示すれば第三者に対抗できます。ただし、2年経過すると建物を新たに建築して登記しないと対抗できなくなります。
借地権の譲渡・転貸
土地の賃借権の譲渡、転貸により不利益がないにもかかわらず、借地権設定者が承諾しないときは借地権者は借地権設定者の承諾に変えて裁判所の許可を得ればよい。
競売や公売によって取得したものも同様の申し立てをすることができます。
定期借地権
定期借地権は定期の借地権。つまり期間があらかじめ決まっている借地権という意味で、「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」の3つがあります。
それぞれのポイントは表にまとめて覚えましょう。
なお、一般定期借地権の場合、契約の更新等がないこととする旨を定めた特約は書面ですることとされていましたが、その特約の内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その特約は書面によってされたものとみなされます。
一般定期借地権 | 事業用定期借地権 | 建物譲渡特約付借地権 | |
---|---|---|---|
期間 | 50年以上 | 10年以上50年未満 | 30年以上 |
形式 | 書面 | 公正証書 | 特になし |
目的 | 制限なし | 事業用 | 制限なし |
契約の終了 | 契約期間の満了 | 契約期間の満了 | 30年経過時点で譲渡を特約 |
終了時 | 更地で返還 | 更地で返還 | 借地権設定者が建物を買い取り |
期間と形式は覚えておこう!
事業用定期借地権はビジネスなのでちゃんとした公正証書で作りましょう。と覚えておこう。
借地借家法(借地)に関する過去問一問一答YouTube
借地借家法(借地)に関する宅建過去問
次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 借地権の存続期間を契約で30年と定めた場合には、当事者が借地契約を更新する際、その期間を更新の日から30年以下に定めることはできない。
- 借地権の存続期間が満了する場合、借地権者が契約の更新を請求したとき、その土地上に建物が存在する限り、借地権設定者は異議を述べることができない。
- 借地権者が借地上の建物にのみ登記をしている場合、当該借地権を第三者に対抗することができるのは、当該建物の敷地の表示として記載されている土地のみである。
- 借地権設定者は、弁済期の到来した最後の3年分の地代等について、借地権者がその土地において所有する建物の上に先取特権を有する。
答え:3
- 誤り:借地権の契約期間は初回は20年以上、2回目以降10年以上となります。ですので、30年以下に定めることもできます。
- 誤り:正当な事由があれば借地権設定者は異議を述べることができます。
- 正しい
- 誤り:3年ではなく2年です。
Aは、所有している甲土地につき、Bとの間で建物所有を目的とする賃貸借契約(以下この問において「借地契約」という。)を締結する予定であるが、期間が満了した時点で、確実に借地契約が終了するようにしたい。この場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 事業の用に供する建物を所有する目的とし、期間を60年と定める場合には、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を書面で合意すれば、公正証書で合意しなくても、その旨を借地契約に定めることができる。
- 居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、公正証書によって借地契約を締結するときであっても、期間を20年とし契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることはできない。
- 居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、借地契約を書面で行えば、借地権を消滅させるため、借地権の設定から20年が経過した日に甲土地上の建物の所有権を相当の対価でBからAに移転する旨の特約を有効に定めることができる。
- 借地契約がBの臨時設備の設置その他一時使用のためになされることが明らかである場合には、期間を5年と定め、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることができる。
答え:3