宅建の監督処分と罰則の覚え方と問題の解き方のコツ

監督処分と罰則

※ 文中の灰色の部分はタップやクリックすると答えが見れます。

監督処分と罰則は過去5年間で4回出題されているので、頻出分野の一つと言えます。

罰則については、あまり出題されないのでちらっと見るだけでいいです。監督処分をしっかり勉強しましょう。

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監督処分の問題を解くときのコツ

監督処分の問題を解くときは以下のことを意識するといいでしょう。

【監督処分の問題を解くときのコツ】

  • その行為が処分事由に該当するか?
  • 処分権者はその処分をすることができるか?

この2段階で問題を解いていってください。

まずは、処分権者からみていきましょう。

監督処分の処分権者まとめ

宅建業者や宅建士は悪い事をすると、免許権者などから一定の監督処分を受けます。

監督処分には以下の図のようにいろんな種類があり、悪い事をした程度によって処分が異なってきます。

指示処分が一番軽く、免許取消・登録削除処分が一番重い処分になっています。

監督処分

では、次に監督処分は誰がすることができるのか、処分した場合に名簿に記載されるかなどを見ていきましょう。

ここはよく出題されるので表をしっかり勉強していく必要があります。

業者への監督処分

処分の種類免許権者違法行為をした場所の知事業者名簿への記載
指示処分
業務停止処分
免許取消処分×

国土交通大臣はすべての宅建業者に、都道府県知事はその管轄区域内で宅建業を営む宅建業者に対して必要な指導、助言及び勧告をすることができます。

宅建士に対しては、必要な報告を求めることができますが処分はできないので注意してください。

宅建士への監督処分

処分の種類登録権者違法行為をした場所の知事業者名簿への記載宅建士証
指示処分
事務禁止処分提出
登録削除処分×返納

宅建業者に対する監督処分

指示処分の注意点

以下の〇〇処分の横に書いてあるのが、任意の場合は処分事由に該当していれば処分「できる」ことを意味し、強制の場合は処分「しなければならない」という意味です。

指示処分(任意)

まず、最初の指示処分は、業者に対する監督処分では一番軽い処分で、悪いことをした業者に対して是正するように指示することができます。

指示処分はすることが「できる」なので、下記の事由に該当したとしても指示処分しないということもあり得ます。

指示処分の事由( 任意)

  1. 宅建業法違反(業務に関する帳簿に報酬の額を記載しなかった、担保責任を負わない旨の特約を付したなど)
  2. 業務に関し取引の関係者に損害を与えたとき又は損害を与えるおそれが大であるとき。
  3. 業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき又は取引の公正を害するおそれが大であるとき。
  4. 業務に関し他の法令(住宅瑕疵担保履行法及びこれに基づく命令を除く。)に違反し、宅地建物取引業者として不適当であると認められるとき。
  5. 宅地建物取引士が、監督処分を受けた場合において、宅地建物取引業者の責めに帰すべき理由があるとき。

業務停止処分 ( 任意)

次に、業務停止処分は2番目に重い処分です。

以下の事由に該当した場合は1以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができます。

これも指示処分と同じく、下記の事由に該当した場合でも業務停止処分をしないこともできます。

業務停止処分の事由1

処分権者は免許権者及び業務地を管轄する知事です。

  1. 誇大広告違反をした場合
  2. 宅建業に関し不正または著しく不当な行為をした場合
  3. 重要事項の説明及び説明書の交付をしなかったとき。(※自ら所有している物件を賃貸借する場合は宅建業に当たらないので、重要事項説明をしなかったとしても処分の対象にはなりません。)
  4. 37条書面の交付をしていなかった

業務停止処分の事由2

処分権者は免許権者のみです。

  • 専任の宅建士の設置義務違反

免許取消処分 (任意と強制がある)

最後の免許取消処分は監督処分の中で一番重い処分になります。

必要的免許取消処分の事由(必ず取り消される)

  • 免許を受けてから1年以内に事業を開始せず、又は引き続いて1年以上事業を休止したとき
  • 不正な手段により免許を取得したとき
  • 業務停止処分に違反したとき
  • 業務停止処分事由に該当し、情状が特に重いとき(過去問では、契約において相手を威迫したうえ、契約締結を強要し、情状が特に重い場合が例として挙げられています。)

任意的免許取消処分の事由(取り消すことができる)

  • 免許を受けた宅建業者の事務所の所在地または所在を確知できず、官報または都道府県の公報でその事実を公告し、その公告の日から30日を経過しても当該宅地建物取引業者から申出がないとき
  • 免許に付された条件に違反した場合

監督処分の流れ

先ほど勉強した、指示処分、業務停止処分、免許取消処分などの監督処分を行う場合には一定の手続きが必要になります。

ここでは手続きの流れについて見ていきましょう。

違反者へ処分内容などの通知 + 期日及び場所の公示
公開の聴聞

聴聞とは違反者の意見を聞く手続きのことです。

※ 弁明の機会を与えるだけでなく、聴聞をすることが必要なので注意!

処分

処分とは、先ほど勉強した指示処分、業務停止処分などのことです。

公告

監督処分を受けると情報が公開されます。

以下のサイトで見れるのでお住いの地域を見てみるといい勉強になりますよ。

業者への業務停止・免許取消処分など重い処分の場合は公告され、指示処分の場合は、公告されないので注意してください。

また、宅建士への監督処分については公告されません

通知など

違反行為をした場所の知事が処分を行った場合は、遅滞なく免許権者に通知・報告します。

指示処分または業務停止処分があった場合、免許権者は業者名後に処分日及び内容を業者名簿に記載します。

国土交通大臣は、大臣免許を受けた宅地建物取引業者が37条書面の不交付など消費者保護のための一定の規定に違反したことを理由に監督処分をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければなりません。

一定の規定とは、「37条書面の交付義務違反」、「重要事項の説明義務違反」などです。

宅建士に対する監督処分

指示処分の事由( 任意)

  • 他人に名義貸しをして、当該他人がその名義を使用して宅地建物取引士である旨の表示をしたとき。
  • 宅地建物取引士として行う事務に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとき。

事務禁止処分の事由( 任意)

上記、指示処分に該当するとき

登録削除処分の事由(強制)

  • 不正な手段により宅建士証の交付を受けた

罰則

罰則については、あまり出題されないので軽く勉強しておくだけでいいでしょう。

宅建業法違反をした本人が罰せられるのはもちろんのこと、法人に対しても罰金刑が科せられることがあります

50万円以下の罰金

  • 国土交通大臣や都道府県知事が行う宅建業者に対しての立ち入り検査について、職員の立ち入り検査を拒んだ場合
  • 従業者名簿の設置義務に違反し、これに虚偽の記載をした。
  • 国土交通大臣または知事から報告を求められ、それを怠る
  • 報酬額の掲示義務に違反した

10万円以下の罰金

  • 重要事項の際に宅建士証を提示しなかった
  • 宅建士証の提出義務に違反した

監督処分・罰則に関する過去問一問一答YouTube

監督処分・罰則に関する宅建過去問

令和3年12月 問28

宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に関する監督処分及び罰則に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

  1. Aが、不正の手段により甲県知事から免許を受けたとき、甲県知事はAに対して当該免許を取り消さなければならない。
  2. Aが、法第3条の2第1項の規定により付された条件に違反したときは、甲県知事はAの免許を取り消さなければならない。
  3. Aが、事務所の公衆の見やすい場所に国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなかった場合、Aは甲県知事から指示処分を受けることはあるが、罰則の適用を受けることはない。
  4. Aの従業者名簿の作成に当たり、法第48条第3項の規定により記載しなければならない事項についてAの従業者Bが虚偽の記載をした場合、Bは罰則の適用を受けることはあるが、Aは罰則の適用を受けることはない。
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

答え:1

  1. 正しい
  2. 誤り:免許に付された条件に違反した場合は、取り消すことができます。
  3. 誤り:罰則の適用を受ける場合もあります。
  4. 誤り:法人も罰則の適用を受ける場合があります。

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