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都市計画法は毎年2問が出題される重要分野です。
ボリュームが多く大変ですが、実務についてからも知っていないとダメな分野なので捨てたりせずしっかり勉強しましょう!
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都市計画とは
都市計画法は住みやすい街を作ることを目的とした法律です。
都市計画を定めないと、住宅の中に工場がある、学校の横にパチンコ屋があるなど住みやすいとは言えない街ができてしまいます。
そこで、都市計画法では、都市計画区域、準都市計画区域というのを定めて計画的な街づくりを行っていきます。
都市計画区域内は人が住んでいる街中といった感じです。
都市計画区域の指定権者は以下のようになっています。
原則:都道府県が指定
例外:2以上の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣が指定
また、都市計画区域が定められていない区域のことを都市計画区域外といい、田舎のイメージです。
準都市計画区域は、都市計画区域外でもインターチェンジの周辺等、田舎だけど開発され環境が悪化するおそれがある区域をいいます。
このような区域を都道府県が指定することにより一定の規制を行うことができます。
都市計画決定の手続き
原案を公告し、2週間縦覧に供する
国の利害に重大な関係がある都市計画の場合は、国土交通大臣に協議し同意を得る
都市計画の種類
都市計画区域内に定める都市計画の種類は全部で11種類あります。
ここでは宅建試験に重要なものだけ見ていくことにします。
- 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針
- 区域区分(市街化区域・市街化調整区域)
- 地域地区
- 地区計画等
- 都市施設
- 都市再開発方針など
- 促進区域
- 遊休土地転換利用促進地区
- 被災市街地復興促進地域
- 市街地再開発事業
- 市街地開発事業等予定区域
区域区分(市街化区域と市街化調整区域)
都市計画区域を定めた後は、必要があるときはその区域を市街化区域と市街化調整区域、非線引き区域にわけることができます。
なお、準都市計画区域には市街化区域や市街化調整区域を定めることはできません。
それぞれの区域の特徴は以下のようになっています。
市街化区域 | 市街化調整区域 | 非線引き区域 |
---|---|---|
・すでに市街地を形成している区域 ・概ね10年以内に優先的かつ計画的 に市街化を図るべき区域 | 市街化を抑制すべき区域 | 区域区分が定められていない区域 |
用途地域などの地域地区
市街化を図るべき区域、市街化を抑制すべき区域を定めたら次は、どのように市街化を図る区域にするのかを指定していきます。
地域地区の種類はたくさんありますが、用途地域が一番重要なのでしっかり勉強しておきましょう。
用途地域
用途地域には13種類あり、市街化を図る市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化を抑制すべき市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとします。
住居系
第1種低層住居専用地域
低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
第二種低層住居専用地域
主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
第一種中高層住居専用地域
中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
第二種中高層住居専用地域
主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
第一種住居地域
住居の環境を保護するため定める地域
第二種住居地域
主として住居の環境を保護するため定める地域
準住居地域
道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。
田園住居地域
農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域とする。
商業系
近隣商業地域
近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域とする。
商業地域
主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域
工業系
準工業地域
主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域
工業地域
主として工業の利便を増進するため定める地域
工業専用地域
工業の利便を増進するため定める地域
※ 上記用途地域のイラストは千葉市HPより引用
「〇〇市 用途地域」で検索すれば自分の住んでいるところの用途地域がわかるから調べてみるとイメージしやすいよ!
特別用途地区
用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区
特定用途制限地域
用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域
特例容積率適用地区
特例容積率適用地区は土地の高度利用を図るために、異なる敷地間で容積率の一部を移転できる制度です。
特例容積率適用地区は第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域又は工業地域内で定められます。
高層住居誘導地区
高層住居誘導地区とは住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するために定められる地区をいいます。
高層住居誘導地区は第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域で定められ、必要があれば、建築物の容積率の最高限度を定めることができます。
高度地区
用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区とする。
高度利用地区
用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区
準都市計画区域内には指定できない。
特定街区
整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区とする。
防火地域・準防火地域
市街地における火災の危険を防除するため定める地域。
詳しくは次の建築基準法で勉強していきます。
風致地区
都市の風致を維持するため定める地区。
地区計画
地区計画は都市計画区域内にある市町村が定める。
用途地域が定められている区域に地区計画を指定することができる。
用途地域が定められていない区域においても、土地利用の動向等からみて不良な街区の環境が形成されるおそれがあるなど一定の場合には定めることができる。
地区計画で定める規定
義務規定
- 地区施設
- 地区整備計画
努力義務規定
- 地区計画の目標
- 区域の整備
- 開発及び保全に関する放心
地区計画区域内では土地の区画形質の変更、建築物の建築等を行う場合には行為に着手する日の30日前までに市町村長に届け出る必要があります。
届出があった場合に、地区計画の内容にふさわしくない場合には工事の中止などを勧告できます。
地区整備計画
地区整備計画は地区計画で定める事項の1つで、道路や公園などの地区施設の配置・規模、容積率の限度など地区計画を具体化するための計画です。
地区計画を大まかなものとした場合、地区整備計画はより具体的な計画となっています。
都市施設
都市施設とは
都市施設とは人が街で生活していくうえで欠かすことのできない、学校、病院、公園、道路、下水道などの施設のことを言います。
都市施設で押さえるべきポイントは以下の3つです。
- 市街化区域と非線引き区域では少なくとも道路、公園、下水道を定める。(×病院)
- 住居系の用途地域には義務教育施設を必ず定める。
- 都市施設は都市計画区域外にも定めることができる。
都市計画制限
上記の学校や病院などの都市施設を計画したとすると、その予定地内ではスムーズに事業を進めるために建物の建築に制限が設けられる。
これが、都市計画制限だ。
都市計画制限は「計画決定の段階」と「事業認可の段階」の2つに分けられる。
計画決定の段階では、計画しているだけで本格的に何かするわけではなく、計画決定の段階で何十年もほったらかしにされている事業もけっこうある。
事業認可の段階になると本格的に事業が開始される段階である。
違いを意識して勉強しておこう。
原則
都市計画施設区域及び市街地開発事業の区域内では建築物の建築は都道府県知事の許可が必要
例外
以下の行為は許可なくすることができる。
- 非常災害の場合
- 軽易な行為
- 都市計画事業の施行として行う行為
原則
以下の行為をする場合は都道府県知事の許可が必要
- 事業の障害になる建築物の建築
- 事業の障害になる工作物の建設
- 事業の障害になる土地の形質の変更
- 重量5トンを超える移動の容易ではない物件の設置・堆積
例外
なし(非常災害の場合でも許可が必要)
開発許可制度
規模の大きな土地の造成などの開発行為を許可制度にすることで乱開発を防止し、快適な市街地を形成することを目的としているのが開発許可制度です。
開発行為とは建築物の建設または特定工作物の建設のために行う土地の区画形質の変更をいいます。
開発行為を行うものは原則として都道府県知事の許可を受ける必要がある。
2以上の都道府県にまたがる開発行為においても各都道府県知事が許可をします。
国土交通大臣ではないので注意してください。
特定工作物
【第1種特定工作物】
アスファルトプラント・クラッシャープラントなど周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物
【第2種特定工作物】
ゴルフ場、1ha以上の野球場、遊園地墓地など
ゴルフ場に規模要件はないので注意してね!
許可不要の開発行為 頻出
市街化区域 | 調整区域 | 非線引き | 準都市計画区域 | その他 |
---|---|---|---|---|
1,000㎡未満 | ― | 3,000㎡未満 | 10,000㎡未満 | |
― | 農林漁業の用に供する一定の建築物 農林漁業従事者の住宅のための開発行為 |
|||
公益上必要な建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為 | ||||
都市計画事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業 防災街区整備事業、公有水面埋立事業の施行として行う開発行為 |
||||
非常災害のため応急措置として行う開発行為 | ||||
通常の管理行為、軽易な行為として次の目的で行う行為 |
- 市街化区域内の許可不要は1,000㎡未満ですが、三大都市圏の整備法の対象区域内は500㎡未満となります。
- 公益上必要な建物として許可不要になるのは図書館、博物館、変電所、駅などがあります。
- 逆に許可が必要な建物としては、学校、医療施設、社会福祉施設があります。
開発許可の手続き
申請書の記載事項
- 開発区域の位置・区域・規模
- 予定される建築物または特定工作物の用途
- 工事施行者
工事内容の変更
知事の許可(軽微な変更は届出)
開発行為の廃止
知事に届出
開発区域の縮小
知事に届出
開発区域内での建築制限
開発許可を受けた区域(上記図のA)の区域では一定の建築制限がされます。
工事完了前と後にわけてみていきましょう。
また、市街化区域内(B)と市街化調整区域内(C)ではどのような建築制限があるのかも合わせてみていくことにします。
Aの区域(開発区域)
原則
建築物の建築ができない
例外
- 知事が支障ないと認めた場合
- 工事用仮設建築物
- 開発行為に同意していない者が建築をする場合
原則
予定建築物以外は建築できない
例外
- 知事が許可した場合
- 用途地域等が定められている場合
Bの地域(市街化区域)
用途地域の用途規制に反しない限り建築可能
Cの区域(市街化調整区域)
原則
建築物の建築はできない
例外
以下の場合は建築物の建築をすることができます。
- 知事の許可を受けた場合
- 仮設建築物の新築
都市計画法に関する宅建過去問
都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 近隣商業地域は、主として商業その他の業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。
- 準工業地域は、主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域とする。
- 第一種低層住居専用地域については、都市計画に特定用途制限地域を定めることができる場合がある。
- 第一種住居地域については、都市計画に高層住居誘導地区を定めることができる場合がある。
答え:4
- 誤り:近隣商業地域は、商業系の用途地域なので住居の環境を保護は違います。
- 誤り:準工業地域は、工業系の用途地域なので住居の環境は保護は違います。
- 誤り:特定用途制限地域は用途地域が定められていない土地の区域に指定されます。
- 正しい:高層住居誘導地区は第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域で定められます。
都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
- 開発許可を受けようとする者は、開発行為に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事を施行する者を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
- 開発許可を受けた者は、開発行為に関する国土交通省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
- 開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事の廃止をしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。
- 開発行為に同意していない土地の所有者は、当該開発行為に関する工事完了の公告前に、当該開発許可を受けた開発区域内において、その権利の行使として自己の土地に建築物を建築することができる。
答え:3
- 正しい
- 正しい
- 誤り:許可ではなく届出
- 正しい
都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 地区計画については、都市計画に、当該地区計画の目標を定めるよう努めるものとされている。
- 地区計画については、都市計画に、区域の面積を定めるよう努めるものとされている。
- 地区整備計画においては、市街化区域と市街化調整区域との区分の決定の有無を定めることができる。
- 地区整備計画においては、建築物の建蔽率の最高限度を定めることができる。
答え:3
- 正しい
- 正しい
- 誤り
- 正しい
都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、許可を要する開発行為の面積については、条例による定めはないものとし、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
- 市街化区域において、都市公園法に規定する公園施設である建築物の建築を目的とした5, 000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
- 首都圏整備法に規定する既成市街地内にある市街化区域において、住宅の建築を目的とした800㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
- 準都市計画区域において、商業施設の建築を目的とした2,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
- 区域区分が定められていない都市計画区域において、土地区画整理事業の施行として行う8,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
答え:2