※ 文中の灰色の部分はタップやクリックすると答えが見れます。
業務上の規制は毎年5問前後、出題されている重要分野です。
それほど難しくないので得点源にしたいところです。
事務所や案内所の届出
契約行為などを行う案内所等を設置する宅建業者は、一定の事項を届け出なければなりません。
これは消費者保護に役立つようにするためです。
届出先は、免許権者及び案内所の所在地を管轄する都道府県知事です。
また、届出の時期は業務開始の10日前までと決められています。
標識の設置義務
標識の例
宅地建物取引業者は、以下のような場所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定める標識を掲げなければなりません。
- 事務所
- 国土交通省令で定める契約の締結または申込みを受ける場所
- 国土交通省令で定める契約の締結または申し込みを受けない場所(標識にはクーリング・オフの適用がある旨の記載が必要です。)
従業者証明書
従業者証明書の例
宅建業者は業務に従事する者には従業者証明書を携帯させなければならず、宅建士証を持っている場合でも従業者証明書の携帯は必要です。
また、一時的な事務の補助者も携帯することが必要です。
従業者名簿
従業者名簿の例
宅建業者は従業者証明書を携帯させるべき者を従業者名簿に記載して設置しておく必要があります。
宅建業者は、従業者名簿の閲覧の請求があったときは、取引の関係者から請求があった時は、請求した者の閲覧に供しなければなりません。
以下で学習する帳簿には請求されたら閲覧させないといけないという規定はないので注意しましょう。
従業者には一時的に事務の補助のために雇用した者も含まれます。
従業員名簿の保管期限は最終の記載をしたときから10年間です。
帳簿
帳簿の例
取引を記録しておく帳簿は事務所ごとに備えつける必要があります。
帳簿は支店の分もまとめて本店で備え付けるなどはできません。
帳簿への記載事項
- 報酬額
- 取引金額
- 取引の年月日など
帳簿の情報はプリンターで紙に印刷できるときは、パソコンにデータとして保存しておくことも可能です。
県のホームページなどでエクセル形式で落ちていました。
帳簿は事業年度末に閉鎖し、5年間保存する必要があります。
自ら売主となる新築住宅に係る帳簿の保存期間は10年です。
広告開始、契約締結の時期の制限
未完成物件については開発行為や建築確認等の許可があった後でなければ、広告を開始できません。
申請中も許可されるとは限らないので広告してはダメです。
表にまとめると以下のようになります。
許可の前でも貸借の場合は契約を締結できるというのだけ覚えておきましょう。
売買・交換 | 貸借 | |
---|---|---|
広告開始の時期 | 許可の後でないと広告できない | 許可の後でないと広告できない |
契約締結の時期 | 許可の後でないと契約できない | 許可の前でも契約できる |
誇大広告の禁止
誇大広告とは以下のようなものをいいます。
- 著しく事実に相違する表示
- 実際のものよりも著しく優良であると人を誤認させるような表示
- 実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示
広告の媒体については特に限定されていないので、新聞、ネット、テレビなどすべての広告が規制の対象になります。
誇大広告をすること自体が禁止なので、実際に被害がでなくても監督処分などの対象になるよ。
誇大広告の禁止に違反すると監督処分や罰則の対象になります。
取引態様の明示
取引の態様とは、当事者としての売買・交換、代理や媒介としての売買や交換のことです。
宅建業法を勉強して一番最初に出てきた宅地建物取引業とは?のところで勉強した内容なので復習しておいてください。
取引態様をいつ明示するかですが、広告と注文によって以下のように規定されています。
- 広告する場合・・・広告の都度明示する
- 注文を受けた場合・・・遅滞なく明示する
広告に取引態様を明示していても、注文時には再び明示しないとダメだよ。
取引態様の明示は相手が宅建業者でもする必要があります。
守秘義務違反などの業務上してはいけない行為 頻出
宅建業者には、業務上してはいけないことが色々規定してあるので順番に見ていきましょう。
してはいけない行為なので将来宅建業者になる受験生のみんなには知っておいて欲しいことからよく出題されます。
してはいけない禁止事項っぽいけど、しても宅建業法違反とならない行為もあります。
ひっかけでよく出題されます。
- 売買代金の値下げによる勧誘
- 売買代金の貸借のあっせん(銀行の紹介など)
- 媒介報酬の分割受領
- 手付金の減額
業務上の規制に関する宅建過去問
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものの組合せとして、正しいものはどれか。なお、この問において「建築確認」とは、建築基準法第6条第1項の確認をいうものとする。
- ア 宅地建物取引業者Aは、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Bから当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。
- イ 宅地建物取引業者Cは、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Dから当該住宅の貸借の代理を依頼され、代理人として借主Eとの間で当該住宅の賃貸借契約を締結した。
- ウ 宅地建物取引業者Fは、自己の所有に属しない宅地について、自ら売主として、宅地建物取引業者Gと売買契約の予約を締結した。
- エ 宅地建物取引業者Hは、農地の所有者Iと建物の敷地に供するため農地法第5条の許可を条件とする売買契約を締結したので、自ら売主として宅地建物取引業者ではない個人JとI所有の農地の売買契約を締結した。
- ア、イ
- ア、エ
- イ、ウ
- ウ、エ
答え:3
- 違反する:貸借の場合、許可の後でなければ広告できません。
- 違反しない:貸借の場合、契約の締結は許可前でもできます。
- 違反しない:原則、業者が自ら牛主となる他人物売買は宅建業法上認められていません。しかし、例外として買主が宅建業者の場合はOKです。
- 違反する:売買契約により物件を取得することが明らかである場合はOKです。しかし、売買契約に停止条件があるときは認められず宅建業法違反です。
宅地建物取引業者Aがその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
- Aは、中古の建物の売買において、当該建物の所有者から媒介の依頼を受け、取引態様の別を明示せずに広告を掲載したものの、広告を見た者からの問合せはなく、契約成立には至らなかった場合には、当該広告は法第34条の規定に違反するものではない。
- Aは、自ら売主として、建築基準法第6条第1項の確認の申請中である新築の分譲マンションについて「建築確認申請済」と明示した上で広告を行った。当該広告は、建築確認を終えたものと誤認させるものではないため、法第33条の規定に違反するものではない。
- Aは、顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告し、実際は他の物件を販売しようとしたが注文がなく、売買が成立しなかった場合であっても、監督処分の対象となる。
- Aは、免許を受けた都道府県知事から宅地建物取引業の免許の取消しを受けたものの、当該免許の取消し前に建物の売買の広告をしていた場合、当該建物の売買契約を締結する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなされる。
答え:3
- 誤り:取引態様の別は広告を表示するときと、注文を受けたときにはしなければなりません。
- 誤り:未完成物件については開発行為や建築確認等の許可があった後でなければ、広告を開始できません。
- 正しい:おとり広告は売買が成立しなくても広告をしただけで監督処分の対象になります。
- 誤り:すでに契約を締結していた場合は宅建業者として扱われますが、これから契約する場合は宅建業者とはみなされません。
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者の氏名、従業者証明書番号その他国土交通省令で定める事項を記載した従業者名簿を備えなければならず、当該名簿を最終の記載をした日から5年間保存しなければならない。
- 宅地建物取引業者は、一団の宅地の分譲を行う案内所において宅地の売買の契約の締結を行わない場合、その案内所には国土交通省令で定める標識を掲示しなくてもよい。
- 宅地建物取引業者が、一団の宅地の分譲を行う案内所において宅地の売買の契約の締結を行う場合、その案内所には国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
- 宅地建物取引業者は、事務所以外の継続的に業務を行うことができる施設を有する場所であっても、契約(予約を含む。)を締結せず、かつ、その申込みを受けない場合、当該場所に専任の宅地建物取引士を置く必要はない。
答え:4
- 誤り:従業者名簿の保存期間は10年です。
- 誤り:一団の宅地の分譲を行う案内所においては契約の締結・申込を受けるかどうかにかかわらず標識の掲示が必要です。
- 誤り:報酬の額を掲示しなければならないのは事務所だけです。
- 正しい
宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
- ア 宅地の販売広告において、宅地に対する将来の利用の制限について、著しく事実に相違する表示をしてはならない。
- イ 建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬の限度額を超えて、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。
- ウ 複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告するときは、最初に行う広告に取引態様の別を明示すれば足り、それ以降は明示する必要はない。
- エ 賃貸マンションの貸借に係る媒介の依頼を受け、媒介契約を締結した場合であっても、当該賃貸マンションが建築確認申請中であるときは広告をすることができない。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
答え:2
- 正しい
- 誤り:依頼者に依頼された場合は報酬の限度額を超えて受領することができます。
- 誤り:広告の都度、取引の態様を明示する必要があります。
- 正しい:建築確認等の許可の前でも貸借の場合は契約できることを覚えておきましょう。
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 宅地建物取引業者は、その業務に関する帳簿を備え、取引のあったつど、その年月日、その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他国土交通省令で定める事項を記載しなければならないが、支店及び案内所には備え付ける必要はない。
- 未成年である宅地建物取引業者は、宅地建物取引業の業務に関し行った行為について、行為能力の制限を理由に取り消すことができる。
- 宅地建物取引業者は、一団の宅地建物の分譲をする場合における当該宅地又は建物の所在する場所に国土交通省令で定める標識を掲示しなければならない。
- 宅地建物取引業者は、業務上取り扱ったことについて知り得た秘密に関し、税務署の職員から質問検査権の規定に基づき質問を受けたときであっても、回答してはならない。
答え:3
- 誤り:帳簿は事務所ごとに備え付ける必要があります。
- 誤り
- 正しい
- 誤り:正当な理由があれば業務上の秘密を言うことができます。
宅地建物取引業者の業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。
- ア マンションの販売に際して、買主が手付として必要な額を持ち合わせていなかったため、手付を分割受領することにより、契約の締結を誘引した。
- イ 宅地の売買に際して、相手方が「契約の締結をするかどうか明日まで考えさせてほしい」と申し出たのに対し、事実を歪めて「明日では契約締結できなくなるので、今日しか待てない」と告げた。
- ウ マンション販売の勧誘を電話で行った際に、勧誘に先立って電話口で宅地建物取引業者の商号又は名称を名乗らずに勧誘を行った。
- エ 建物の貸借の媒介に際して、賃貸借契約の申込みをした者がその撤回を申し出たが、物件案内等に経費がかかったため、預り金を返還しなかった。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
答え:4